山岳・自然分野のメディア事業を手がけるインプレスグループの山と溪谷社は、ヤマケイ文庫『大地の五億年』(藤井一至/著)を販売中だ。
本書は、土の研究者である藤井一至氏が、土の中に隠された多くの謎をスコップ片手に掘り起こし、土と生き物たちの歩みを追った壮大なドキュメンタリーだ。
最新の土の研究成果・地球問題に「土」を切り口に迫る
植物・微生物・昆虫・動物・恐竜・人類まで、地球上で繫栄してきた生き物たちを支えてきたのは、実は「土」だった。
地球には最初、土は存在しなかった。地球上に生き物が誕生し、その遺体と岩石から土が生まれたのだ。現在、地球は生き物が確認されている唯一の惑星であり、それゆえに土は地球にしか存在しない。
地球上に「土」が誕生したのは、今から5億年前。ひたすら土を食べて土壌を耕すミミズ、岩を溶かすように進化したキノコ、土で塩分を補給するオランウータンなどなど。
そして、土は動植物の躍進を支えるとともに自らも変化し、恐竜の消長や人類の繁栄に大きな影響を及ぼした。
本書は、土の研究者である藤井一至氏が執筆。土の中に隠された多くの謎をスコップ片手に掘り起こし、土と生き物たちの歩みを追った壮大なドキュメンタリーだ。
藤井一至氏は、1981年富山県生まれで、2009年京都大学農学研究科博士課程修了。土壌学・生態学を専門に、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員を務める。
インドネシア・タイの熱帯雨林からカナダ極北の永久凍土、さらに日本各地へとスコップ片手に飛び回り、土と地球の成り立ちや持続的な利用方法を研究する。
第1回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。
著書としては、『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)で河合隼雄賞を受賞した。
本書は、ドイツ文学者の故・池内紀氏が絶賛したヤマケイ新書『大地の五億年』(2015年)を大幅に加筆のうえ、312ページ・オールカラーで文庫化した渾身の作。
加筆部分には、最新の土の研究成果とあわせて、食糧・環境問題といった今日人類が直面する課題についても、「土」を切り口に迫る。
大阪大学名誉教授・仲野徹氏、女優・作家・歌手・中江有里氏、ドイツ文学者・故池上紀氏も推薦する。
身近な存在でありながら、人々があまり注意を払わない「土」。その土が、地球と人類をはじめとした生物と密接に関わり、食料・環境問題にも影響を与える。
これからの地球問題を考えるうえで、SDGsに敏感な大人なら、読んでみたい一冊だろう。
大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち
著者:藤井一至
定価:1,210円(税込)
公式HP:https://www.yamakei.co.jp/products/2822049430.html
(高野晃彰)