2023年夏、仙台に上陸する米人気クラフトビールブランドのレストラン併設ブルワリーに期待が膨らむ

クラフトビール人気が高まっていると言われているが、実際、日本でのシェアはまだ2%程度しかない。

金額ベースでのクラフトビールのシェアが25%と言われるアメリカで人気のブランド「Great Dane Brewing(グレートデーンブリューイング)」が、2023年夏、宮城県仙台市秋保地区にレストラン併設のブルワリーをオープンする。

出来立てクラフトビールを併設レストランで飲む

「グレートデーンブリューイング」は、ウィスコンシン州マディソンで1994年、学生時代からの友人であるロブ・ロブレグリオ氏とエリオット・バトラー氏の二人が創業した。

醸造したばかりの出来立てクラフトビールを併設の飲食店で飲むことができる「Brewpub(ブリューパブ)」というスタイルで地元民や観光客から人気を集め、今では地域で5店舗を展開している。

グレートデーンとは、“優しい巨人”と呼ばれる大型の犬種を意味するとともに、州都マディソンが位置するデーン郡を「Great Dane(偉大なるデーン郡)」と呼ぶダブル・ミーニングから名付けた。

犬のグレートデーンの頭をかたどった象徴的なロゴマークは、「Dog Head」としてファンから愛されている。

醸造責任者を務めるロブ氏は、2012年に全米の年間最優秀醸造家に選ばれたこともある一流のブリュワーで、細かなタイプに分ければ200種類ものビールを自在に醸造できるプロフェッショナル。

現在は、日本ではどのようなタイプのビールを打ち出すべきかを研究しており、日々試作を繰り返しているそうだ。

ブルワリーは仙台市秋保地区に建設予定

グレートデーンは創業初期に清沢哲也氏が醸造家として働いていたことがある。またロブ氏の兄が京都大学で教鞭を取るほどの日本通であったことから、「グレートデーンブリューイング」は以前から日本に対して特別な思いを抱いていた。

ほかにも様々な「ご縁」があり、日本進出を真剣に検討するきっかけとなった。

ブルワリーの建設予定地は、仙台市の南西、仙台駅から車で30分ほどの距離に位置する秋保地区。名取川沿いに開けた温泉と歴史的施設や名勝に恵まれた自然豊かなところで、コロナ以前は年間300万人以上が訪れていた超人気の観光地だ。

グレートデーンは秋保の中心地であり、秋保グランドホテルの目の前に、ブルワリー用の土地を確保した。敷地面積は約5000平米、ブルワリーは1000平米の規模になるという。ブルワリーでは年間数十種類のオリジナルビールを製造するとともに、併設のレストランでは出来立てのビールを味わったり、アメリカンテイストのフードメニューを楽しんだりできるとのこと。

また、2021年からは秋保地域にてホップ栽培を始めており、自分たちで育てたホップも今後のビールづくりに積極的に使用していく。

日本のクラフトビール人気の潮流を変える動きは仙台からはじまるかもしれない。クラフトビールが好きなら、来夏の開業を期待を込めて注視していきたい。

(冨田格)