靴を「花器」に見立てて死生観を問う|京都でアーティスト・串野真也の展示会を開催

伝統と革新、過去と未来を行き来する京都からアートを発信。

1847年に京都に創業して以来、170年に渡り新古茶道具の商いを続ける「清昌堂やました」。同店は今春、京都に所縁のある国内外のアーティストや、小学生の美術教育をサポートするためのプロジェクトスペースとして「清昌堂やました THE ROOM」をオープンした。

現在、同所にてアーティスト・串野真也氏を迎え、人間の歩みや歴史、死生観を問う展覧会「忘却の旅人 – 人間讃花」を6月25日(土)まで開催中だ。

清昌堂やました THE ROOM ©oka haruka

世界的に活躍する気鋭のアーティスト、串野真也氏の展示会

広島で生まれ、京都を拠点に活動するアーティスト、串野真也氏。京都芸術デザイン専門学校を卒業後、イタリアに留学。帰国後、自然からインスピレーションを受け、“ファイナルデザイン”をテーマにした靴の作品を最先端技術や伝統技術などを駆使して製作し、今現在も世界に向けて発表し続けている。

2016年には京都府文化賞奨励賞を受賞し、その作品がイギリスの国立博物館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館とNYのFashion Institute of Technology 美術館に永久保存されるなど、世界的に活躍する気鋭のアーティストだ。

「靴」を「花器」に見立てて展示

串野氏は今回の展示会で、伝統と技術を巧みに取り入れながら彫刻作品へと昇華させた「靴」を展示。同氏は「靴」への想いについて、次のように語る。

「靴ーそれは一歩一歩を刻む“人の歩み”を象徴し、少しずつ前進していく私たちの人生を表す彫刻でもあります。

生きることは記憶の連続であると同時に、忘却の連続でもあり、忘れることによって、膨大な記憶の重力から解き放たれ、私たちは一歩前へと足を踏み出すことができるのではないでしょうか。

しかし、記憶の忘却は永遠に失うことではありません。歩んできた時間の中に連なる壁の隙間にそっと潜み、何かがきっかけでその記憶は必要な時にだけ話しかけてくる」

串野真也「忘却の旅人 – 人間讃花」展 ©oka haruka

花の一生のように咲き、そして枯れ、新たに芽吹く、美しくも儚い軌跡。

花を人の人生、靴を花器に例える串野真也氏は、作品を通し、前へと伸ばすその一歩を励まし、忘れながらも生きゆく人生を讃える。

陶芸家、十六代樂吉左衞門氏とのクロストークイベントも開催

会期中の6月4日(土)には、串野真也氏と陶芸家である十六代樂吉左衞門氏のトークイベント「Dialogue – ダイアローグ」を開催。異なる伝統芸術を担いつつも、同志として尊敬の念を抱きながら、独自の発展を遂げる同世代の二人の作家の対話を楽しみたい。

忘却の旅人 – 人間讃花
会場:清昌堂やました THE ROOM
所在地:京都市上京区小川通寺之内上る2丁目禅昌院町636番地
日時:開催中〜6月25日(土)
営業時間:12時〜17時
定休日:火・水・木・金曜日

串野真也×十六代樂吉左衞門 Dialogue – ダイアローグ
日時:6月4日(土)17時〜18時
会場:清昌堂やました THE ROOM
定員:先着35名
予約:https://seishodo-theroom-dialogue3.peatix.com/

(IKKI)