東京都美術館|北欧デザインの巨匠「フィン・ユール」の企画展

上野の東京都美術館にて、7月23日(土)~10月9日(日)に、企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」が開催。

デザイン大国として知られるデンマーク。同展では椅子をテーマに、デンマーク家具デザインの変遷をたどるとともに、モダン家具の黄金期を築いたフィン・ユールに焦点をあて、その独創的なデザインが生み出された背景を探る。

フィン・ユールのデザインの魅力に迫る

北欧の国デンマークは、とりわけ1940〜60年代にかけて、デンマークの歴史に残る優れた家具が生み出された。

デザイナーのなかでも、フィン・ユール(1912-1989)は、ひときわ美しい家具をデザインしたことで知られ、優雅な曲線を特徴とするその椅子は、「彫刻のような椅子」 とも評される。

当時の家具デザイナーたちの多くが専門学科や家具工房の出身であるのに対し、フィン・ユールは美術史家になることを夢見ながらもアカデミーで建築を学び、建物の設計やインテリアデザインに携わるなかで家具デザインを手がけた。

体を抽象化したようなやわらかなフォルムは、座って心地よいばかりでなく、彫刻作品にも似た静謐な存在感を放つ。建築や美術、あるいは日用品と濃密に響き合いながら、空間の調和を生み出す役割をも果たしているようだ。

同展は、デンマークの家具デザインの歴史と変遷をたどり、その豊かな作例が誕生した背景を探るとともに、フィン・ユールのデザインの魅力に迫る。

椅子のデザインにはじまり、理想の空間を具現した自邸の設計や、住居や店舗、オフィスのインテリアデザインまで、フィン・ユールの幅広い仕事を紹介する。

フィン・ユール《イージーチェア No.45》
1945年デザイン 織田コレクション
撮影:大塚友記憲

フィン・ユール《チーフテンチェア》
1949年デザイン 織田コレクション
撮影:大塚友記憲

必見の織田コレクション、座って体感できるコーナーも

同展は、椅子研究者の織田憲嗣氏が研究資料として長年にわたり収集してきた20世紀の家具、日用品のコレクション(北海道東川町が所蔵)を東京でまとめて紹介する初めての機会となる。試作として作られた貴重な一脚から名作と言われる逸品まで、バラエティに富む数々の椅子を楽しめる。

フィン・ユール《イージーチェア No.53》
1953年デザイン 織田コレクション
撮影:大塚友記憲

フィン・ユール《ボーンチェア No.44》
1944年デザイン 織田コレクション
撮影:大塚友記憲

さらに、デンマークの椅子に実際に座り、そのデザインを体験できる空間も用意される。フィン・ユールをはじめ、デンマークの優れたデザイナーたちの豊かな発想から生まれた椅子に座り、それぞれのスピリットを体感してみては。

東京都美術館
所在地:東京都台東区上野公園8-36

フィン・ユールとデンマークの椅子
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
会期:7月23日(土)~10月9日(日)
休室日:月曜日、9月20日(火)※ただし9月19日(月・祝)は開室
開室時間:9時30分~17時30分(入室は閉室の30分前まで)
観覧料:一般 1100円ほか
展覧会公式サイト:https://www.tobikan.jp/finnjuhl
※混雑時に入場制限を行う場合あり

(IKKI)