明治・大正期の輸出陶磁器を中心に展示する名古屋市の「横山美術館」で、4月29日(金)より企画展「細密の世界で魅了した七宝の美」が始まった。期間は7月24日(日)まで。繊細な技を駆使しながらもデザインは想像を超えるほど大胆、そんな七宝焼の世界を紹介する。
世界を魅了する七宝焼を紹介
明治時代に進められた殖産興業政策の下、数多くの美術工芸品がつくられ、それらの輸出で獲得された外貨は近代国家建設の礎となった。そのひとつである七宝焼も、かつて海を渡ったものが少しずつ里帰りすることで、技と美が再発見されつつある。
国内では近年、東京の涛川惣助、京都の並河靖之のようにブランドとして銘を入れた作品が注目されるようになってきた。しかし、名古屋や現・あま市でつくられた尾張七宝は「銘を入れなくても作品の出来栄えを見れば、誰がつくったかは明らかに判る」との考えが強く、職人たちの間に記銘する習慣が浸透しなかった。
日本では東西の「両ナミカワ」に比べ、無銘の尾張七宝はその素晴らしさに反して、正当な評価が得られているとはいえない。逆に海外では有銘・無銘にかかわらず、質の良い日本の七宝焼はすべて高く評価されているのだ。
この企画展では明治時代のものを中心に、超絶技巧で欧米を魅了した七宝焼の美を紹介する。
「七宝」をもっと知ることができる関連イベント
同館では「七宝」に関連したイベントを開催する。
講演会「名もなき七宝の名品」
明治時代の尾張七宝の技術と変遷について、ユニークなエピソードを交え紹介する。
講師:S.マッシュ氏(明治七宝研究家)
日時:5月21日(土)13:30~15:00
定員:30名(要事前申込)
申込方法:電話申込(下記のイベント詳細ページ参照)
参加費:無料(入館料別)
七宝焼体験講座「わたし色が溶け合う七宝」
無線七宝の技法で釉薬を盛り上げ、世界でひとつだけのキーホルダータイプの爪切りを制作。
指導:あま市七宝焼アートヴィレッジ
日時:6月19日(日)13:30~15:00
定員:28名(要事前申込)
申込方法:電話申込(下記のイベント詳細ページ参照)
参加費:3,500円(入館料・材料・焼成費込み)
今年の夏は細密の世界に浸ってみては。
横山美術館
所在地:愛知県名古屋市東区葵一丁目1番21号
イベント詳細ページ:https://www.yokoyama-art-museum.or.jp/event/
(IKKI)