ゴールデンウィーク中、東京都内にいる人は銀座へ出かけてみるのはどうだろう。銀座 蔦屋書店内のギャラリー「THE CLUB」にて、猪瀬直哉氏の個展「The Utopia Chapter 6」が開催中。会期は6月11日(土)までで、同氏のTHE CLUBでの個展は4度目となる。
“ユートピア” ―それはバビロニアのバベルの塔のように、何世紀にもわたり伝えられてきた、人間の傲慢性を象徴する寓話のひとつだ。同展覧会では、猪瀬氏が創り出す架空の世界にある“ルーメン美術館”に所蔵される、ユートピアに関する数々の作品や歴史に迫る。
(写真:Naoya Inose, Euphoria, 1864, Emmett Edwards, 2021, Oil on Linen, 76×101cm, ©THE CLUB)
様々な絵画様式で“ユートピア”を描く
14世紀から21世紀に至るまで、長らく画家のモチーフとなってきたユートピア。そのミステリアスな景観は、古い書物から現代に至るまで多岐にわたり人々を魅了してきた。神話としてなのか、現実にあったことなのか、謎多きユートピアで一体何が起こり、現在どのように捉えられているのか。
猪瀬氏は今回の展覧会について次のようにコメントする。
「架空とされる事物をこれまで何世紀にもわたり、画家は描いてきました。このような寓話に見られる人間の傲慢性を1からフィクションで創作してみたいと思ったことがきっかけで、このシリーズができました。
こういったアプローチは、映画ではよく見受けられます。擬似ドキュメンタリー的な側面の強い表現方法を元にし、人々が彼らにとって都合の良い建造物を作り、自然が耐えられなくなって見捨てられてしまう。長い時代を通してまた、違う視点を持ってネガティブに、またはポジティブに描かれた作品群をご鑑賞いただきたいです」
新進気鋭の油絵画家「猪瀬直哉」
1988年生まれの猪瀬直哉氏のプロフィールも紹介したい。
東京藝術大学の油絵科を卒業し、現在はロンドンを拠点として活動する。自然界とそこにおける人間の強欲な在りかた、それによって生み出される不調和な関係性を探求する猪瀬氏は、精巧な風景と抽象的な世界を油絵の技法によって描く。
各時代の西洋絵画史を象徴するかのように様々な絵画様式で描かれた展示作品からは、謎多きユートピアの発展を垣間見れる。圧倒的な絵画技法によって具現化されるユートピアの世界を楽しみたい。
GINZA SIX
所在地:東京都中央区銀座6丁⽬10番1号
The Utopia Chapter 6
会場:GINZA SIX 6F 銀座 蔦屋書店内
会期:開催中~6月11日(土)
時間:12時~19時
休廊:⽇曜、⽉曜
詳細:https://store.tsite.jp/ginza/blog/art/26198-1348270421.html
(IKKI)