毎日新聞社が明治初期の多色刷り版画「錦絵新聞」を毎日フォトバンクで公開

明治を生きた人々の興味や関心の在り処がわかるアートが、デジタル上でお目見えする。

毎日新聞社は、自社で所蔵する明治初期の多色刷り版画「錦絵新聞」を、日本最大規模のデジタル写真データベース「毎日フォトバンク」で公開し、提供するサービスを始めた。

明治初期の多色刷り版画「錦絵新聞」公開

「錦絵新聞」は1874年後半から1877年ごろにかけて発行された多色刷りの浮世絵だ。

人々の関心の高い殺人事件や情痴、珍聞・奇話などの新聞記事をもとに浮世絵師が絵を描き、簡単な解説文を添えた一枚刷り。毎日新聞の前身「東京日日新聞」の創刊者の一人だった浮世絵師・落合芳幾氏が手がけたものが始まりと言われている。

当時のニューメディアだった新聞と色鮮やかな浮世絵が結びついた「錦絵新聞」は、ビジュアルで分かりやすく、かな文字が読めるか読めないかという人でも楽しめたため、知識人向けで漢文調の文章でつづられていた「東京日日新聞」本紙よりよく売れたと伝えられている。

今回、毎日新聞社はデジタル写真データベース「毎日フォトバンク」で、この「錦絵新聞」を公開。さらに、DNPアートコミュニケーションズが運営する、美術と歴史専門の画像貸し出しサービス「Image Archives(イメージアーカイブ)」内にも「毎日新聞社イメージアーカイブ」を開設し、「錦絵新聞」を公開した。

新屋茂樹氏の収集物から224点の「錦絵新聞」がお目見え

今回、「錦絵新聞」第1弾としてお目見えしたのは、大正から昭和初期にかけて記者として活躍し、後に近衛文麿氏の特別秘書も務めた新屋茂樹氏の収集物。遺族が毎日新聞社に寄贈したコレクション「新屋文庫」におよそ700点ある錦絵・錦絵新聞のうち、東京日日新聞をもとにした錦絵新聞224点のデジタルデータだ。

今後、幅広い人々に「錦絵新聞」のデータを利用し、楽しんでもらことを想定しているという同社。今後は、明治初期の東京銀座通りや内国勧業博覧会を描いた錦絵なども公開予定だ。明治の文化を、錦絵を通して感じたい。

毎日フォトバンク:https://photobank.mainichi.co.jp/
Image Archives:https://images.dnpartcom.jp/

(IKKI)