修験体験ができる場所として「宿坊」を再生するプロジェクトだ。
福岡県飯塚市に本拠をおく徳積財団は、4月2日(土)に、日本三大修験の聖地「英彦山(ひこさん)」にある最古の宿坊で茅葺屋根を葺くイベントを行う。
英彦山甦生の象徴として宿坊をかつての面影に完全復活
今回茅葺屋根を葺く宿坊の名は守静坊(しゅじょうぼう)という。これは、英彦山に現存する宿坊の中でも最も歴史が古いとされる古民家。また、英彦山研究の第一人者として活躍した故・長野覚氏の生家でもある。
長野氏は元駒澤大学教授で、修験山伏・守静坊10代目坊主でもあった。2021年、徳積財団に守静坊の再生を託す形で長野氏は逝去。徳積財団は、長野氏の遺志を引き継ぎ、守静坊を現代によみがえらせるべく再生事業にあたっている。
守静坊を宿坊再生のシンボルとするだけでなく、英彦山地域全体を再興していくシンボルとして整えていく。
最盛期の江戸時代には800軒余りの宿坊が軒を連ね、山伏や参詣者が訪れていたと言われている英彦山。しかし明治政府の廃仏毀釈、神仏分離令、修験道禁止令の影響により、英彦山の山伏文化はほぼ壊滅した。
霊峰からは山伏の姿が消えてしまい歴史と文化は途絶えようとしている。それを復活する一大プロジェクトとして、徳積財団がその復活のシンボルとなる宿坊の甦生に取り組んでいる。
その初めの宿坊として、この英彦山最古の宿坊、守静坊を再生。英彦山の甦生のシンボルとして、この宿坊をかつての面影を完全に復活させるような本物に磨き上げる。
相互扶助の共同体「結」による葺き直し
昨年11月よりスタートして内装はほぼ完成しており、残すは屋根の甦生を残すのみ。この屋根を昔から日本でもっとも大切にされてきた相互扶助の共同体「結」(ゆい)で葺き直す。
この結のおかげで、村々の民家の屋根はずっと守られてきたという。かつての日本人の先祖たち、また代表的な日本人として紹介されている歴史的な偉人たちは、皆この「結」によって見守られ育ち、徳を積むことを学び、豊かに仕合せな生き方を代々伝承してきたのだ。
世界情勢など不穏な空気が漂う昨今、新たな歴史を皆で創り上げていく意義あるイベントだ。
「英彦山」宿坊再生プロジェクト
日時:4月2日(土)9時30分~12時まで
場所:福岡県田川郡添田町大字英彦山731番地 守静坊
参加費:無料(軍手と長靴を持参のこと)
HP:http://www.tokutsumi.or.jp
(suzuki)