森鴎外の小説の主人公のモデルとなった画家・宮芳平。そんな宮芳平の作品を、約40点集めたコレクション展「宮芳平の詩と芸術」が、島根県立石見美術館で開催される。
芸術を一途に愛する画家・宮芳平
宮芳平(1893-1971)は、新潟県魚沼市に生まれ。東京美術学校西洋画科在学中、意欲作《椿》が秋の文展(文部省美術展覧会)に落選すると、芳平はそれに納得がいかず、理由を聞くために文展の審査委員だった森鷗外を訪ねる。
鷗外は突然の訪問を快く受け入れ、それが縁で以後二人の交流が始まった。このやりとりはのちに鷗外によって短編小説『天寵(てんちょう)』として発表される。
鷗外は芸術を一途に愛する芳平の純朴な性格を愛し、絵を購入したり、近況を聞いてアドヴァイスをしたり、生涯を通じて父のように接したという。
芳平は美術学校を中退後、職を得るために長野県の諏訪市に移住。美術教師として勤めながら、諏訪の自然を背景にした絵を描いた。戦中戦後の貧困のなか家族を養い、絵を描き続けるつらさや喜びは、多くの言葉や詩に綴られている。
本展では宮芳平の言葉を紹介しながら、銅版画を中心に展示する。
この機会に宮芳平の魅力を楽しんでみたい。
島根県立石見美術館コレクション展「宮芳平の詩と芸術」
会場:島根県立石見美術館 展示室C(グラントワ内)
所在地: 島根県益田市有明町5-15
会期:3月12日(土)~4月25日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)
石見美術館:https://www.grandtoit.jp/museum/
(suzuki)