歴史を感じるビヤホールで飲む生ビールは別格だ。
1934年創建の「銀座ライオンビル」が、令和4年2月17日付で、国の登録有形文化財(建造物)として登録された。
銀座の歴史を伝える歴史的建造物
1934年4月8日、大日本麦酒の本社ビルとして竣工した「銀座ライオンビル」の1階にて、ビヤホールが開店した。
ビル及びビヤホールの内装は、当時としては贅をつくし、工夫を凝らした造りとなっており、建築家を含め多くの人から絶大な賞賛を集めた。
戦時中空襲により多くのビヤホールは焼失または疎開のため取り壊されたが、「銀座ライオンビル」は空襲を免れ、終戦後の1945年9月11日から接収され進駐軍専用のビヤホールとなった。1952年1月に接収は解除され、再び一般客も利用できるようになり、現在に至る。
創建当時から内装は殆ど同じままで、何度来店しても「いつも同じ姿で迎えてくれるビヤホール」「思い出が詰まっているビヤホール」として多くのユーザーから愛され続け、今年4月8日(金)で創建88周年を迎える。
80年以上もの間、銀座の歴史を伝える歴史的建造物として親しまれてきたことも、登録された経緯に影響していると考えられる。
「豊穣と収穫」がコンセプトの内装
「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」の想いを込め作った空間が銀座ライオンビル1階、現存する日本最古のビヤホール『ビヤホールライオン 銀座七丁目店』だ。
「豊穣と収穫」がコンセプトのビヤホールには、その所々に豊かな実りを感じさせる大麦や葡萄がモチーフの装飾を施している。店内に一歩入ると、その歴史と風格を感じる雰囲気から「まるで教会のようだ」という声も寄せられている。
店内正面の大型ガラスモザイク壁画には、ビール大麦を収穫する女性たちが、そしてその中にはたわわに実った葡萄や中央には愛や平和を象徴する「アカンサスの花」が描かれている。
カウンターの両脇には、静かに存在感を放つ噴水が据えれているが、ビルの老朽化にともない近年は使用していなかった。店内の赤レンガの壁は「豊かな実りをはぐくむ大地」をイメージしている。
またホールの左右に並ぶ緑のタイルと天井に伸びる矢じり型の装飾からなる太い柱は「大麦」を表現している。店内を照らすのは、ビールの泡をイメージした水玉模様の照明や、葡萄の房をモチーフにしたシャンデリアだ。
厨房機器など一部は時代に合わせ改良しているが、内装の殆どは創建当時の姿のまま残している。
世代を超え愛され続ける銀座のビヤホール。昭和から続く歴史の一端を感じながら、ゆったりと生ビールを味わってみたい。
銀座ライオンビル
所在地:東京都中央区銀座七丁目9番20号
構造:鉄筋コンクリート造 地下1階~地上6階
公式サイト:https://www.ginzalion.jp/shop/brand/lionginza7/
(冨田格)