横浜美術館正面のグランモール公園「美術の広場」の仮囲いにアート作品が3月12日（土）より登場。
約90メートルの仮囲いを、新作を含む18 点の村上早作品が彩る。
新進気鋭アーティストの作品が横浜美術館の仮囲いに出現
横浜美術館では、将来活躍が期待される若手アーティストを紹介する小企画展「New Artist Picks」を、2007年よりアートギャラリーなど館内の展示スペースで開催してきた。
大規模改修工事のため休館中の今回は、その特別版となる「Wall Project」として、横浜美術館正面のグランモール公園「美術の広場」に面した仮囲いで、2回にわたり若手アーティストの創作を紹介する。
第1回は、銅版画を主な表現手法とする村上早（むらかみ・さき／1992年生まれ）を紹介。2015年から2021年までに制作された作品16点と新作2点、計18点が披露される。
「死と再生」や「生々しい感情」を大胆に描いた作品
村上は、ポスターカラーを使い筆で銅版に直接描いた線を腐食させるリフトグランド・エッチングなどの技法で、自身の記憶やトラウマから生まれたモチーフを描く作家だ。
村上早
自らの制作を「銅版を傷つける」行為ととらえ、「銅版に刻まれた線は心の傷、線を埋めるインクは血、インクを載せる紙はガーゼ（包帯）」と述べる村上。
その作品は、現代社会に対して作家が抱く恐れや嫌悪、欲望や愛のイメージなど、生々しい感情に裏打ちされている。
またモチーフの中心に、犬や馬、鳥や虫などの動物がいることも特徴。動物たちは人間を襲う脅威として描かれる一方で、痛みを分かちあう身近な存在としても登場する。
村上早《まよいご》2022年、撮影：末正真礼生
村上早《かくす》2016年、撮影：齋梧伸一郎
村上早《どく》2018年、撮影：齋梧伸一郎
村上早《きろく》2019年、撮影：齋梧伸一郎
村上早《おどり》2021年、撮影：末正真礼生
コロナ禍を経験し、誰もが新しい生き方を模索する昨今、「死と再生」「人間と動物との関係」を表現した村上作品は、弱さを認め合って謙虚に世界をとらえることの大切さを気づかせてくれるに違いない。
Wall Project
期間：3月12日（土）～11月6日（日）※予定
場所：横浜美術館前 仮囲い
所在地：横浜市西区みなとみらい3-4-1 グランモール公園「美術の広場」
横浜美術館：https://yokohama.art.museum/
（IKKI)