「芝」で江戸元禄から大正初期の間に創業し、百年以上営業する和と洋の文化の老舗が2016年に創設した芝百年会から、『芝百年 暖簾の物語』が2月17日に発売された。革新を重ねる老舗の旦那、女将の物語を単行本としてとりまとめた一冊だ。
伝統のまち「芝」と革新の「老舗」の物語
芝っ子の思い出の場所を紹介
古地図を見ると「芝」は江戸市中でも珍しい町割りの地域だった。
当時は寺社地・譜代大名の上屋敷・町人まちが互いに接していた。さらにそこには東海道が通り、色々な階層の人が頻繁に往来していた土地柄の名所や旧跡を、この地で生まれ、この地で育った暖簾の旦那と女将が、自らの思い出を加えて紹介している。
「芝っ子」という呼称の由来
「芝のまちの軌跡」で江戸時代後期から明治、昭和、平成、令和時代に至る芝のまちの変化を記述し、老舗が多く存在する芝のまちの特性と芝で生活している人々を江戸っ子、芝っ子の呼称の誕生と特有の気質の「いき」通して解説をしている。
和と洋の老舗が名を連ねる芝百年会
芝百年会には、古来からの業種である和菓子・佃煮・蕎麦・鰻・鮨・和服・鳥料理・清酒・酒造・碁盤・和竿といった「和の老舗」と、乳製品・洋酒・洋菓子・珈琲・建築金物・洋行鞄・化粧品・洋家具といった文明開化によって、外国との交流で生まれた業種である「洋の老舗」が名を連ねている。
これを紹介する芝百年会の会員は、これまでに築いてきた暖簾にあぐらをかく事なく、『伝統は守るだけでなく創るもの』と心に刻み、革新を重ねていく老舗だ。
「老舗」に関する知識も身につく
また、同書では「老舗とは何か」「老舗の文化とは」などを、一つひとつひも解いて、「何年たったら老舗になるか」「老舗の語源」「商売と商人」「暖簾と扁額」などを、わかりやすく解説している。
芝百年会は、地域経済の活性化事業、老舗文化発信事業、相互交流事業、共同学術研究を目的として掲げ、これからも「芝」のまちの魅力を、老舗の文化を通して発信していく。
芝っ子が語りつぐ暖簾の物語から歴史を紐解くのも面白そうだ。
芝百年 暖簾の物語
単行本(ネット書店:Amazon):2,500円
電子書籍(Kindle):2,000円
発行所:青山ライフ出版
芝百年:https://shiba-shinise.com/
(hachi)
※価格はすべて税込
画像元:芝百年会–芝地区老舗の会