さまざまな文化が深く根付く東京・下北沢にミニシアターが誕生した。“文化を愛する人たちの結節点”となる映画館を目指す、シモキタ‐エキマエ‐シネマ「K2(ケーツー)」だ。
シモキタ‐エキマエ‐シネマ「K2」
ミニシアター「K2」は、1月20日(木)、下北沢の「(tefu) lounge(テフ ラウンジ)」にオープンした。
下北沢駅南西口直結、さらに下北沢の商業施設「シモキタエキウエ」からも直結の「(tefu)lounge」。小田急線・東北沢駅~世田谷代田駅の地下化にともない、全長約1.7kmの路跡地を開発して生まれた、新しい“街”「下北線路街」にある。
「K2」は「(tefu)lounge」の2Fにあり、 隣にはカフェが入居、映画館のコンセッションとしても連動していく。
「K2」が目指す新しい映画館のかたち
「K2」をオープンするにあたり、まずは「下北沢」という街で活動する人々を第一に考え、新旧老若男女内外など様々なバリアを取り払いつつ、多種多様なそれぞれの文化が好きな人達が集う、結節点のような映画館となることを目指した。
同時に、映画館を“共有地”とすることで消費者ではなく当事者を増やし、地域に寄り添った文化アプローチのまちづくりの起点にもしていきたいと考えている。
そんなビジョンの実現には「質の高いコミュニケーションの創出」が必要であるという観点から『K2』は”学びを共有する場所”になることを目指す。
そのための一つが、隔月発行する雑誌「MAKING」だ。「K2」で上映する作品の多様な面白さや背景を深堀りし、映画文化を通じた”学び”自体を広めていくことにチャレンジする。
もう一つが、オンラインスクリーンでの特別上映プログラム。「K2」で上映する作品の関連作品や、同時に見ることで新しい意味が生まれる様な作品を「K2」でセレクトし配信する。
「K2」が取り組む2つのDX
「K2」では、コロナ禍の中に新しく生まれる映画館だからこそチャレンジできるオンラインとのハイブリッドによる新しい映画館の形を模索するために、2つのDXに取り組んでいく。
一つは、バーチャル スクリーン 『Reel』。これは、映画館で実際に上映されている期間に限り有料でオンライン鑑賞できる劇場同時配信の仕組みで、売上の一部はその作品を上映している各劇場に均等に配分する。
オンライン上映で発生する利益を、デジタルが浸透している都市だけでなく地方の劇場にも等しく分配することで日本全体の映画文化を担保し続けようとするアクションであり、リアルとバーチャルでの映画鑑賞の体験を相互に補完する狙いもある。
もう一つは、ベーシック・インカムプラットフォーム『BASIC』を使った『K2』のファンコミュニティーの立ち上げだ。
ストック型で持続的な支援につながる月額参加型のコミュニティーを通じてより深い『K2』のファンになってもらい、映画体験をより豊かにするためのアクションを行っていこうと考えている。
コロナ禍の逆風の中で誕生したミニシアター。今の時代に即した形で映画文化を発信していく拠点となりそうだ。
シモキタ‐エキマエ‐シネマ『K2』
スクリーン数:1スクリーン
席数:71席(内2席は車椅子受入可)
所在地:東京都世田谷区北沢2-21 tefu lounge 2F (シモキタエキウエ直結)
公式サイト:https://k2-cinema.com
(冨田格)