Synamon社×奥村組が「メタバース技術研究所」を奥村組技術研究所に構築

VR・ARを含むXRやメタバース市場の創造に取り組んでいるSynamon(シナモン)社が、総合建設会社の奥村組とともに、奥村組技術研究所に「メタバース技術研究所」を構築した。

左:奥村組技術研究所、右:バーチャル空間に再現した「メタバース技術研究所」

■Synamon×奥村組「メタバース技術研究所」を構築
「XRが当たり前の世界をつくる」をミッションに、VR・ARを含むXRやメタバース市場の創造に取り組むSynamon社。奥村組技術研究所内施設の室内環境実験棟を活用した「メタバース技術研究所」は、茨城県つくば市に所在する。

「メタバース技術研究所」は、国土交通省の『令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業』に選定されている奥村組技術研究所にて、メタバース上のVRシミュレーションを通して各種実験のための増改築工事の検討精度を向上させ、設計・施工工数の削減を目指していく。

■「メタバース技術研究所」構築の背景

「メタバース技術研究所」のバーチャル空間

奥村組技術研究所では、免震技術の開発やICTやロボット、i-Construction、BIMの活用による設計・施工業務の効率化・省力化など様々な研究を行っており、年間を通じて各種実験のための増改築工事を予定している。

増改築等の建設工事では作業の手戻りを減らすためにモックアップを作成し施工検討を行う。現実に近い素材を活用し実物大で再現する「実寸大モックアップ」、縮尺を変更し3Dプリンター等で再現する「縮尺版モックアップ」が存在するが、それぞれに課題がある。

「メタバース技術研究所」のバーチャル空間

「実寸大モックアップ」は、モックアップ作成のコストが高く、施工検討期間の保管場所の確保が困難であり、検討後に産業廃棄になるといった課題が挙げられる。

一方「縮尺版モックアップ」は、サイズが小さいためにモックアップ作成が困難であり、実物大ではないがゆえの手戻りが発生するといった課題が挙げられる。

これらの課題を解決すべく、バーチャル上でモックアップを再現し施工検討を行うことができる「メタバース技術研究所」を構築した。

■「メタバース技術研究所」構築で期待できる効果

室内環境実験棟の設備や構造について確認している様子

「メタバース技術研究所」構築により、「施工工数の削減」「BIMモデル活用にかかるコストの削減」「関係者の合意形成」「SDGsへの貢献」といった効果が期待できる。

施工工数の削減
バーチャル上にモックアップを再現することで実寸大スケールであらゆる角度の施工検討ができるため、手戻り発生の減少に貢献できる。

BIMモデル活用にかかるコストの削減
BIM、i-Constructionなどの既存データを活用することでシームレスにバーチャル上に3Dモデルを配置できるため、コストをかけずにかつ手軽に施工検討が実施できる。

関係者の合意形成
繰り返し実施する各種実験のための増改築工事について、バーチャル空間上で設計・施工における関係者の合意形成をおこなうことで手戻りのない実験計画を進めることができる。

SDGsへの貢献
バーチャル空間では現実の素材は一切使用しないため、産業廃棄物を減らすことができSDGs推進につながる。

「メタバース技術研究所」の打ち合わせ風景

奥村組技術研究所の「メタバース技術研究所」によって、建築の世界が大きく変わっていきそうだ。

奥村組技術研究所:https://www.okumuragumi.co.jp/technology/tri/
Synamon:https://synamon.jp/

(冨田格)