4年に一度の大勝負。2022年、サッカーW杯の舞台はカタールだ。
■「スタジアム974」公開
2011年にカタール国によって設立された「Supreme Committee for Delivery&Legacy(伝送と遺産の最高委員会)」は、カタールが「FIFAワールドカップ2022」を主催するために必要なインフラストラクチャと開催国としての計画と運用の提供を担当している。
「伝送と遺産の最高委員会」は、FIFAワールドカップ2022で使用する「スタジアム974」を公開した。このスタジアムは、2021 FIFAアラブカップの初日である11月30日にアラブ首長国連邦とシリアが対戦する際、試合会場として初めて使用される。
■2つの空港と1つの港に近い立地
「スタジアム974」は、「伝送と遺産の最高委員会」が建設する7番目の会場。その他、「ハリーファ国際スタジアム」「アル・ジャヌーブ・スタジアム」「エデュケーション・シティ」「アフメド・ビン・アリー・スタジアム」「アル・ベイト・スタジアム」「アル・サマーマ・スタジアム」の6つの会場はすでに完成している。
以前はラス・アブー・アブード・スタジアムの名称で知られていた「スタジアム974」は、主に輸送用コンテナで造られ、ドーハ港近くの、壮観なウエストベイのスカイラインを対岸に臨む。このスタジアムは、FIFAワールドカップ史上初めて、全面的に取り外しが可能な革新的設計を採用している。
「カタールワールドカップ2022」の開催期間中、4万人を収容する「スタジアム974」は16ステージのラウンドまで7試合の会場となる。
スタジアムの名称は、建設に使用された輸送用コンテナの数と、国際電話でのカタールの国番号にちなんでいる。
また、「ハマド国際空港」「ドーハ空港」「ハマド港」に程近いカタールの玄関口としてのスタジアムの立地を反映したものでもある。「スタジアム974」は、ドーハ・メトロゴールドラインのラス・ブー・アブード駅から800mの場所に位置している。
■サステナブルなレガシー
「伝送と遺産の最高委員会」の運営オフィス委員長兼テクニカルデリバリーオフィス副委員長兼エンジニアであるヤシール・アル・ジャマル氏は、次のように述べている。
ひときわ目を引く「スタジアム974」は、サステナビリティとイノベーションの誇るべきシンボルです。この会場の完成によってまた一つ、「FIFAワールドカップ2022」の開催に向けた取り組みにおいて重要な瞬間を迎えることができました。
あらゆるインフラプロジェクトに関して確固たる進捗が見られており、間もなく開催される「FIFAアラブカップ」では、「スタジアム974」が初めて試合会場となるのが楽しみです。
「スタジアム974」は、その革新的な設計から自然に換気を行うため、空調が不要。躯体の多くにリサイクルした鋼鉄を使用しているほか、水効率に優れた方法によって従来のスタジアム建設と比較して水使用量を40%削減。
元請業者はHBKコントラクティング社で、TiMEカタール社がプロジェクトマネージャーを務めている。
輸送用コンテナを使用した「スタジアム974」。そのデザインが目を惹くばかりではなく、サステナブルな主張がはっきりと打ち出されていて、これからのスタジアム建設においての一つの指標となっていきそうだ。
公式サイト:https://www.qatar2022.qa/en/home
(冨田格)