岐阜のグランドキャニオン「遠見山」の登山者が約3倍に増加した理由とは?

登山が身近になるアプリに注目が集まっている。

■装備のハードルが低い低山登山が人気

登山地図GPSアプリ「YAMAP」を運営するヤマップ社は、岐阜県加茂郡川辺町と連携し、気軽に登れる低山「遠見山(とおみやま)」と「権現山(ごんげんやま)」を登山者向けWebサイト「YAMAP MAGAZINE」で紹介したところ、登山者が約3倍に増え人気スポットと化した。

ヤマップは、「人と山をつなぎ、身も心も癒してくれる山の魅力を多くの人に感じて欲しい」という思いのもと、百名山といった著名な山だけでなく、地方の低山の魅力を伝える取り組みを進めてきた。

Withコロナ時代になってからは、自宅から50km未満の近場の山が人気になってきている。特に気軽に訪れることのできる低山登山は、装備などのハードルも低く、密にならないレジャーとして、いま最も注目されているアクティビティの一つだ。

また、ヤマップでは、地方創生を鑑みて、里山や低山を紹介すると同時に、町の名所、旧跡、伝統、グルメ情報など隠れた魅力も伝えている。

気軽に挑める低山登山であっても道迷いや遭難の危険があるため、地図とコンパスで現在地を確認しながら登山することが大切。登山地図GPSアプリ「YAMAP」を使えば、電波が届かない山の中でも現在地が分かり、安全に山を楽しむことができる。

■2週間で、訪れる登山者が約3倍に増えた

岐阜県加茂郡川辺町は、名古屋から車で1時間の場所にあるが、目立った観光スポットもなく、宿泊施設は1軒の小さな町。

近年、町内の「遠見山(272m)」や「権現山(396m)」で少しずつ整備が進み、「岐阜のグランドキャニオン」と登山者の中で注目を集めはじめていた。これを「観光の糸口」として進めようと、川辺町のスタッフがヤマップに相談。

10月27日にヤマップが運営する登山者向けWebサイト「YAMAP MAGAZINE」で紹介したところ、公開からわずか2週間で、訪れる登山者が約3倍に増加。同時に紹介した川辺町名物の「五平餅」も人気になっている。

川辺町役場企画課の市原和也氏はこう語っている。

YAMAPで紹介してもらった後、「登山者らしい服装の人」が目に見えて増えたのを感じます。コロナ禍で元気がなかった町ですが、登山者のおかげで活気が出てきました。また、登山道を整備している地元の人達も、登山者が増えたことでさらにやる気が出てきて「新しいルートを作ろう!」など盛り上がっています。

また、川辺町の酒蔵「平和錦酒造」代表の前島正秀氏はこう語る。

遠見山登山口の近くにお店があり、登山者が駐車場を使うのを見ていると、土日は朝早くから満車になっています。満車になることは、今まで夏の一時期しかなかったので驚いています。登山者は30代〜60代の愛知の方が多いようで、みなさん「すごい絶景だった」と喜んで帰っていきます。小さな頃から遊んだ山がこんな風に人気になるとは嬉しいですね。お陰様で、お土産にお酒を買ってくれる方も増えて嬉しいです。

ヤマップでは、地方自治体や地元企業と連携し、情報発信を通じて、登山者に山と観光を楽しんでもらう「トレッキング・ツーリズム」を今後も推進していくとのこと。

あまりにも身近にありすぎて意識していなかった近くの低山が、実は特別な場所かもしれない。見逃していた魅力を見つけ出すことは、毎日をちょっと楽しくしてくれそうだ。

アプリ「YAMAP」:https://yamap.com/
YAMAP MAGAZINE:https://yamap.com/magazine/

(冨田格)