繊細な素材と技術の持つ迫力。「繊細という迫力」駿河竹千筋細工展が11月26日(金)〜12月19日(日)まで駿府の工房 匠宿内の匠宿伝統工芸館で開催される。
■職人の目と手で組み上げられる「駿河竹千筋細工」
駿河竹千筋細工とは、静岡を代表する伝統工芸品だ。竹ひごを駆使し、花器、お盆、茶托、手提げ、行灯、虫かごなどを作っていく。
その伝統は古く、西暦1620年頃から発祥したと伝えられている。1976年、経済産業大臣から「伝統工芸品」の指定を受けた。駿河細工とも呼ばれ、東海道を行き交う旅人に喜ばれながら、現代にかけても愛用され続けているのだ。繊細な技と優美なデザインは、まさに「竹」を使った芸術ともいえる。
全国には竹を素材とした製品が数多くあるが、そのほとんどは「編む」竹細工だ。
対して駿河竹千筋細工は、細く割った竹を丸く1ミリほどに削った「丸ひご」を曲げて、「継手」の伝統的な技法で組み立てていく。
熱で曲げた竹枠に穴を開け、丸ひごを挿して組み立てるのは、繊細で時間のかかる作業だ。このほぼすべての作業を、職人がほぼ一人で行なっていく。その軽やかさとは裏腹に、一つひとつの丹念な手作業がその姿を形作っている。
曲線の形や竹ひごの侵入角度を計算しながら、素材を読み、季節を読み、職人の目と手で組み上げていく。繊細ながら、作品からは確かな迫力が感じられる。
繊細な作業の積み重ねが生む「無二の迫力」に触れられるに違いない。
駿府の工房 匠宿
(IKKI)