熊野古道・中辺路ルート、地方創生をテーマに町宿4軒を作るプロジェクト

熊野古道の旅をさらに豊かにする町宿がオープンする。

■宿泊先が見つからないという熊野古道の現状

世界遺産・熊野古道の参詣道「中辺路ルート」沿いに、地方創生を理念とする町宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」が10月8日(金)に開業する。2022年9月までに、中辺路ルート沿いに4つの町宿を順次開業する予定で、今回はその第一弾となる。

​熊野古道には6つの参詣ルートがあり、最も参詣者が多い中辺路ルート(滝尻王子~熊野那智大社)は約100㎞もある。そのため、巡礼には約4~5日間を要し、観光客は複数の宿泊施設を泊まり歩く必要がある。

しかし、周辺の宿泊施設は1組限定の民宿など小規模なものが多く、春・秋のハイシーズンにはすべての宿が満室となってしまうケースが発生。そのため、宿泊先が見つからない日が1日でもあると、巡礼ができないという課題があった。

また、高齢者が経営する宿も多く、後継者不足もまた課題となっていた。これらの問題を解消するべく、数日間かけて歩く中辺路ルート沿いに、4つの町宿「SEN.RETREAT」をつくるプロジェクトがスタートした。

■コンセプトは「つなぐ、つながる宿」

「つなぐ、つながる宿」をコンセプトとし、旅行者と地域の日常生活をつなぐ宿泊施設をつくる。大自然の中で山歩きができる場所は各地にあるが、複数の神社がつながり、巡礼文化を体験できる場所は、熊野古道以外にはない。そのような環境で、安心できる宿泊と巡礼体験を提供したいと考えている。

中辺路ルートの4つの主要地域で計約40室を備えた町宿を運営し、年間1万人の巡礼をサポートする。また、すべての宿を一括で予約できるシステムを導入する予定だ。

■古民家をリノベーションした温かな宿

空き家となっていた古民家を、木の温かみを生かした内外装にリノベーションした。一棟貸しとし、宿泊客が集まれる広々としたリビングを備えている。

客室に入るとほんのりと木の香りが漂う。大自然に囲まれた屋外のデッキテラスではバーベキューセットを常備。野菜、海鮮、肉などの食材と地酒が楽しめる。また焚き火や川遊びなどのレジャーも楽しめるなど、家族連れやアウトドア好きな人の利用も想定している。

1棟貸しのため、周りに気兼ねせずにグループで利用できるのもポイントだ。

SEN.RETREAT  TAKAHARA

所在地:和歌山県田辺市中辺路町高原 1966
客室数:3室(最大宿泊人数10人)
付帯設備:シャワー、洗濯機、乾燥機、キッチン、炊飯器、冷蔵庫、電子レンジ、駐車場
宿泊単価: 1泊4万円~(1棟貸しのみ)
公式ホームページ: https://www.sen-retreat.com/takahara/

(GINGA)