最新の技術は使いこなしてこそ意味がある。
■ARで部屋の模様替えをシミュレートする
リクルートの研究開発組織「アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)」は、iPhoneやiPadPro搭載のLiDARスキャナを活用した部屋の模様替えAR(拡張現実)アプリ『AR Room Simulator』を、9月22日(水)より一般公開した。
「ATL」は、多くのサービスを持つリクルートの中で、新しい技術の開拓や次のトレンドをいち早く察知し未来のサービスに生かせるソリューションを生み出す部署。
『AR Room Simulator』は、起動後に室内へカメラを向けるとLiDARスキャナにより床や壁を認識し、壁紙や床材を張り替えてARで表示するというもの。椅子や机を置いてみるなど、模様替えした室内の様子を簡単に素早くシミュレートすることができる。
■一般向け公開に至る背景
LiDARセンサーとは「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の略で、センサーからレーザー光を照射し対象物で反射してセンサー部に返ってくるまでの時間から、対象物との距離が計測できるセンサー。
この技術は巨大構造物や建造物の計測に利用されてきたが、近年では自動車の自動運転のセンサーとしても用途が拡大されている。
LiDARセンサーを利用した「LiDARスキャナ」が、2020年発売のiPadProおよびiPhone12Proからタブレット・スマホに搭載されるようになった。大型で高額な機械を間作動させなければならなかった3次元形状の計測が、誰でも手軽にできるようになったのだ。
そこでATLでは、誰もが3次元形状を計測できる時代が到来した時に、どのような価値が提供できるかの検証を行い、その結果、技術的に実現可能であること、さらにコロナ禍で“在宅時間”が増える中、生活の充実に役立ててほしいとの思いから、『AR Room Simulator』の一般公開に至った。
■『AR Room Simulator』の特長
「壁紙の変更(4種類)」「床材の変更(4種)」「机、椅子の変更(各3種類)」のシミュレーションを行うことができる。
技術的には、壁紙や床材の貼り方が自然に見えるよう、方向の推定を行うことがポイントだったという。さまざまな工夫や修正を加えていくことで、リアリティーをもって「部屋」と認識できる表現を可能にした。
「アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)」の担当、布村壮太氏のコメントを紹介しよう。
LiDARスキャナ搭載のiOS端末が昨年リリースされましたが、せっかく最新のiPhoneを持っていても、その新機能を実際に使ってみる機会が少ない状況です。その様子から、LiDARセンサー機能がまだまだ一般化できていないと常々感じていました。今回開発したアプリのように、「LiDARセンサーがあればこういうことができる」ということをご提案し、まずは使ってみていただくことが大切だと考えます。今年発売のiPhone13Pro/ProMaxにも搭載されるということで、今後もLiDARスキャナを利用する機会は増えていくのではないかと思っています。
失敗しない部屋の模様替えに役立つこと確実なアプリの誕生だ。
『AR Room Simulator』
対応機種:iPhone13Pro・ProMax・12Pro・ProMax/iPadPro
App Store:https://apps.apple.com/jp/app/id1579993065
(冨田格)