壁画や高さ4mを超える大作。千葉JPFドームに現代美術家・松山智一氏の常設展示

気温が落ち着き、スポーツや芸術を心ゆくまで楽しめる季節がやってきた。今回紹介するのは、エントランスに現れる迫力あるアート作品だ。

@2021 MASAMI SUZUKI PHOTO

トラック競技の国際大会で行われる「ケイリン」種目に準拠した公営競技として、新しい自転車トラックトーナメント「PIST6 Championship(ピストシックス チャンピオンシップ)」が10月2日(土)に開幕する。

開催場所は、千葉競輪場跡地に建築された250m周長の木製バンクを備えた「千葉JPFドーム」 。

今回、同会場のメインエントランス側のホワイエスペースに、ニューヨークを拠点に活動し、「PIST6 Championship」の優勝トロフィーを手掛けた、現代美術家松山智一氏の作品を常設展示することが決定した。

■迫力ある現代アート作品を常設展示へ

千葉JPFドームのメインエントランスを抜けたホワイエスペースに入ると、同氏の手掛けた作品が来場する人を出迎える。

Photography by Makoto Shikuya

まず目に飛び込むのは左右に対に設置された、高さ約4.5メートルの迫力ある彫刻2作品。そしてホワイエ奥の壁面には、幅約30メートル、高さ2.5メートルにおよぶ壮大な壁画が一帯を包む。

■向日葵をモチーフにした2つの彫刻作品

松山氏によると、盛者必衰・輪廻転生・起死回生といった人間の営みや生命力、超えるべきハードルや挑戦の連鎖があって我々は存在するというリアリティを、対となった彫刻が力強く表現しているという。

Photography by Makoto Shikuya

Photography by Makoto Shikuya

タイトルは「Glory Slowly」(写真上)と「Immortality Morality」(写真下)。

双方に、月桂樹や中世の神格化された文様、験担ぎのアイコンなどからなる3つの輪の造形が組み込まれている。「Glory Slowly」では向日葵が咲き誇り、「Immortality Morality」では枯れた向日葵がモチーフとなり、生命の表裏一体性を示している。

■30mに渡る迫力ある壁画

この壁画は、移ろいゆく世の中にありながら、それでも一つの場所に根を張り、挑み続ける人間の強さと素直さを表現している。タイトルは“終わりのない手仕事”を意味する 「A Daunting Task」。

Photography by Makoto Shikuya

背景には鮮やかな色が施されているが、それとは対照的に主役である花には彩色が施されていない。無彩色の花は、持続やプロセスの中で自己発見や自己成長を遂げる我々自身の存在に問いかける意図を込めている。

Photography by Makoto Shikuya

【プロフィール】
松山智一 Tomokazu Matsuyama
1976年岐阜県出身。上智大学卒業後2002年渡米。NY Pratt Instituteを首席で卒業。
現在はNYブルックリンを拠点にスタジオを構え、活動を展開している。ペインティングを中心に彫刻やインスタレーションも手がけるほか、大規模なパブリックアートを各国で手がけることで世界的に知られる。

Photography by Naoko Maeda

これまでにニューヨーク、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ等の全米主要都市、日本、ドバイ、香港、台北、ルクセンブルグなど、世界各地のギャラリー、美術館、大学施設等にて個展・展覧会を多数開催。

松山氏のパブリックアートは、新宿東口駅前広場や明治神宮での展示などで知られている。この、迫力あるアート作品も、新しい自転車トラックトーナメント大会に華を添えてくれるだろう。

千葉JPFドーム
所在地:千葉県千葉市中央区弁天4-1-1

(hachi)