「ボストン美術館」所蔵の武者絵と刀剣で日本のヒーロー像を辿る展覧会開催

チャンバラに興じていた少年心を刺激されそうな展覧会がやってくる。

■江戸時代に人気を博した「武者絵」の世界

「武者絵」をご存知だろうか?「武者絵」とは、『平家物語』のような軍記物語や、武勇伝説に登場する英雄(ヒーロー)を描いた絵のことを言い、江戸時代には武者たちを描いた浮世絵が、人々の人気を博した。

浮世絵の祖と言われる菱川師宣の時代から江戸後期の歌川国芳にいたるまで、多くの浮世絵師が「武者絵」を手掛け、源頼光、源義経、上杉謙信、武田信玄などの武将のほか、スサノオノミコトの武勇、巴御前のような女武者の奮戦も数多く描かれている。

世界最高水準の日本美術コレクションを誇る「ボストン美術館」所蔵品の「武者絵」と秘蔵の刀剣が里帰りするボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」の開催が決定した。

会期は、来年1月に東京・六本木の森アーツセンターギャラリーから始まり、ほかを巡回する予定だ。

平安時代の名刀や中世に活躍した刀工の名品などを有する「ボストン美術館」の刀剣を、日本でまとめて紹介するのは約半世紀ぶりとなる。

■「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」のみどころ

クールで迫力のある武者絵118点。国貞、国芳、広重もすべて日本初出品!

世界有数の浮世絵コレクションで知られる「ボストン美術館」の所蔵品から、菱川師宣、北尾政美、歌川国貞、歌川国芳、歌川広重、月岡芳年など、有名絵師の武者絵を物語の時代に沿って紹介する。

武者絵は伝統的に描き継がれたことで時代を超えて広く親しまれ、江戸時代には歴史を彩ったヒーローたちが活躍する浮世絵が、人々の心をとらえた。

「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」では、武者絵と刀剣の鐔(つば)に描かれた共通のイメージを解き明かしながら、さまざまなヒーローたちの活躍を紹介する。

「ボストン美術館」から半世紀ぶりに名刀が多数里帰り

浮世絵版画のコレクションで広く名前が知られた「ビゲロー・コレクション」や、近年新たに加わった刀剣の世界的コレクターとして知られるウォルター・コンプトン氏の寄贈品などから、日本最古の名工といわれる安綱の銘が残る太刀や、中世日本に多くの名匠を輩出した長船派の名刀などを紹介する予定だ。

そのほか、膝丸、蜘蛛切、薄緑などさまざまな名前を持つ源氏の重宝「太刀 折返銘 長円(薄緑)」(平安時代・12世紀 個人蔵)をはじめ、国内所蔵の名刀の特別出品も決まり、刀剣ファンならずとも必見のチャンス。

少年心が沸き立つこと確実、開幕が待ち遠しい。

ボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」

会期・会場
2022年1月21日(金)~3月25日(金)森アーツセンターギャラリー
2022年7月2日(土)~8月28日(日)静岡市美術館
2022年9月10日(土)~11月20日(日)兵庫県立美術館(予定)

展覧会公式サイト:https://heroes.exhn.jp/
主催:日本経済新聞社、ボストン美術館、森アーツセンター

※同展は、令和3年度日本博イノベーション型プロジェクト事業。

(冨田格)

※開催状況が記事の掲載時と異なる場合があります。ご利用時には公式HPなどで最新情報のご確認をお願いします。