買い物リストからカスタマージャーニーを捉え、デジタル販促の未来を考える「MOBILEプロジェクト」とは?

公益財団法⼈流通経済研究所とCCCマーケティングは、マルエツと合同で、顧客が購買に⾄るまでのカスタマージャーニーを明らかにし、それに対応したデジタル・モバイル販促の総合的な活⽤法を考える研究プロジェクト「MOBILEプロジェクト」を立ち上げた。

■情報収集や買い物計画の段階から、顧客の⾏動やインサイトを把握

2020年春以降の新型コロナウイルス感染症の流⾏を契機に、リアル店舗を利⽤するショッパーの⾏動は⼤きく変化。

流通業がこれに対応して⾏くためには、店頭だけでなく、来店前の情報収集や買い物計画の段階から、顧客の⾏動やインサイトを把握していく必要がある。

このためMOBILEプロジェクトでは、消費者モニタを対象に買い物調査を実施。購買履歴データと紐づけて分析することで、その⾏動の要因を明らかにし、顧客接点としてのモバイルを効果的に活⽤するための知⾒を報告していく。

ちなみに、MOBILEプロジェクトの名称は、Marketing Organization for Buyersʼ Insight and List Enhancement(購買者インサイトと買い物リスト強化のためのマーケティング機構)の頭⽂字によるものだ。

MOBILEプロジェクトでは、T会員を対象に調査モニタを募集し、買い物に関する調査を実施。モニターには買い物意識や習慣等のアンケートをするほか、買い物をする際の商品リスト(買い物メモ)を提出してもらい、来店前の購買の計画状況について把握する。

モニタの実際の店舗での購買状況は、マルエツ店舗でTカードを提示して購入した購買履歴データを⽤いる。

買い物リストデータと購買履歴データを紐つけることで、顧客の来店前の買い物計画や意識が、実際の店舗での購買にどのように影響しているのかを分析する。

また、プロジェクト後半では、モニタを対象としたデジタルクーポン配布実験等を実施し、上記の知⾒を反映した新しい販促⼿法について検討していく。

■コロナ下の購買⾏動の変化

スーパーマーケットで1度にカゴに⼊れられて買われる商品のうち、約8割はお店に来る前に買う予定のなかった(計画していなかった)商品であるといわれる。そのため、これまでは、お店に来てからの商品の訴求が重要であるとされてきた。

しかし、コロナを通じて、⼈々は外出を控えるようになり、買い物の頻度を減らす人も出てくるようになった。そのため、⼀度に購買する商品の数も増加傾向にあり、少ない買い物でこれらを忘れずに買えるよう、買い物メモの重要性が増している。

ショッパーを対象とした調査では、「買い物メモをつくる」と回答した⼈は増加傾向にあり、2021年4⽉時点で35%にのぼっている。

こういった中で、来店前に商品を訴求し、計画的な購買を促進できるかどうかが重要性を増している。

Withコロナ・Afterコロナの購買⾏動を的確に捉え、将来のデジタル施策のあり⽅を考えていくのが、MOBILEプロジェクトの⼤きなテーマだ。

今後の展開に注目したい。

https://www.dei.or.jp/project/mobile/

(Yuko Ogawa)