「放置竹林」問題を美味しく食べて解決する「延岡メンマ」プロジェクト

日本各地にある「放置竹林」の環境に与えるダメージの大きさが問題になっている。その問題の一つの解決策になりうるプロジェクトを紹介しよう。

■放置竹林が森林に与えるダメージとは

宮崎県延岡市の80%を占める山林で問題になっているのは、誰にも整備されない放置竹林だ。

竹は元来成長する力がとても強く、その根は森林内に侵入し拡がっていく。竹を放置していると森林が竹に乗っ取られてしまい、成長した竹が日差しを遮ることで樹木は弱り、森林の住人である鳥や昆虫の生活環境も破壊していく。

また、地下に拡がる竹の根は地下30センチくらいの浅いところにびっしりと蔓延るので、雨水が地下に浸透するのを遮る。時間と共に竹の地下茎は腐食していき、土砂崩れなどを引き起こす原因にもなる。

このような山林の竹害を解決すべく、放置竹林をメンマにするプロジェクトが宮崎県延岡市のLOCAL BAMBOOが製造販売する「延岡メンマ」だ。

LOCAL BAMBOO 代表取締役 江原 太郎 氏

■竹害を食べることで食い止める

主にラーメンの具材として親しまれているメンマは、その多くが台湾や中国に生息する麻竹という品種のタケノコ。「延岡メンマ」は主に延岡に生息する孟宗竹(モウソウチク)を使用した国産100%メンマ。

「放置竹林をメンマにして竹害を食い止める」という社会貢献に繋がる活動でも、美味しくなければより多くの人に親しんでもらうことができず、活動を継続的に行うことは不可能だ。

プロジェクトのスタッフたちが本気で美味しいと思える味を追及して辿り着いたのが、延岡ならではのブランド農産物「七萬石とうがらし」と、全国の鑑評会において高い技術を評される渡辺味噌醤油醸造が作る「赤麦みそ」の掛け合わせ。

公式サイトには、「メンマ丼」「メンマトースト」「メンマカルボナーラ」など、「延岡メンマ」の美味しい食べ方を掲載している。

■壁に着目した『ポスター店』という発想

LOCAL BAMBOOが取り組みはじめことは、日本の山林における竹害問題の認知を高め社会全体で解決することを目的とした、人々の生活導線上である「壁」に着目した無人販売。

ECサイトへのQRコードを載せたポスターをあえて『ポスター店』と定義し、人々の生活動線上で「延岡メンマ」への関心を高め、より多くのユーザーが商品購入できる機会を増やすことを目指しているそうだ。

「ポスター店」の一号店は、東京・台場、ダイバーシティ東京プラザ屋上にある都内最大級の屋上貸し農園「都会の農園」の壁にオープンした。7月7日までに、20店舗に増やしていきたいとのこと。

環境問題を美味しく食べることで解決していこうという「延岡メンマ」のプロジェクトには注目だ。

公式サイト:https://nobeokamenma.com/

(冨田格)