小さな酒蔵を救う、小さな酒屋の挑戦!-5℃熟成酒と新酒の飲み比べセット

マイナス5℃で熟成した日本酒を飲んだことがあるだろうか。

■マイナス5℃熟成の秘密

日本酒専門の酒販店・さくら酒店は、コロナ禍で売上が激減した小規模の酒蔵を支援するため、日本酒をマイナス5℃で氷温熟成させ、この冬に搾られる新酒との飲み比べセットにして発売。まったく同じ原料と製法で造られた日本酒だが、1年もの(マイナス5℃熟成)と搾りたてのもの(新酒)を同時に届けることで、その味わいの違いを楽しめるセットとなっている。

温度が高いと化学反応の速度が速まり、温度が低いと遅くなることを「アレニウスの法則」と言う。特に日本酒の中に含まれる酵母や酵素は、温度が高いほど活発に活動し、味わいの成分を著しく変化させてしまう。

これらの活動を最小限に抑え、かつ味わいのバランスを最も良く保つには、酒が凍る一歩手前の、できるだけ低い温度で保管することが必要になる。その温度こそが「マイナス5℃」。日本酒はアルコール度数が高いので、マイナス5℃でもぎりぎり凍らない。

■小規模酒蔵を支援する理由

コロナ禍が収束する気配がないとはいえ、酒蔵は今期も出荷予想に合わせて量を減らすということもなく酒を醸造しなければならない。というのも、今期の酒造りに使う米の発注はコロナ前にはほぼ済んでおり、例年通りの量のお米が入荷してくるからだ。それをキャンセルすれば、今度は米農家が路頭に迷ってしまう。

だからこそ、さくら酒店の「1年もの(マイナス5℃熟成)と搾りたてのもの(新酒)」のセット販売は、特にコロナによる影響が大きい小規模酒造を支援することになるのだ。

■飲み比べセットの例

「津島屋 純米吟醸 美山錦 生原酒」マイナス5℃熟成酒&新酒セット(720ml×2本)

岐阜県美濃加茂市「御代桜醸造」6代目蔵元である渡邉博栄氏は、このように語る。

「八方塞がりの日本酒業界は厳しい局面を迎えています。貯蔵している商品を積極的に資金化して、次の酒造年度での新たな挑戦に備えたいのが本音です」

同商品の今期の新酒を事前に相当数予約することで、蔵元に安心して酒造りに専念する環境を作ったという。

発売日:11月26日(木)

「文佳人 純米吟醸 雄町」マイナス5℃熟成酒&新酒セット(720ml×2本)

全国新酒鑑評会で7年連続金賞を受賞している文佳人は、高知県香美市で夫婦二人三脚で醸すとても小さな蔵「アリサワ」のブランド。今もっとも在庫が多く、かつ熟成に向く「文佳人 純米吟醸 雄町」をマイナス5℃熟成させた。

「文佳人 純米吟醸 雄町」は、フランス人ソムリエらによるフランス初の日本酒コンテスト・KURA MASTERで金賞に輝いた酒でもある。

発売日:12月初旬予定

マイナス5℃熟成酒を今期の新酒とセットにして販売することで、新酒の販売も加速させることができる。そして酒蔵の先の農家も収量を減らすことなく米作りを続けられる、持続可能な環境づくりに貢献するセットだ。

オンラインストア:https://shop.sakurasaketen.com/

(田原昌)