空き家というのは、どの地域においても悩みの種。鹿児島県種子島では、新しい空き家の活用方法を模索中だ。
鹿児島県西之表市鴨女町の旧饅頭屋の空き家を活用した「境界なき宿屋カモメ」の工事が進んでいる。
若者も高齢者も障がいがある人もない人も、皆んなが分け隔てなく過ごせるようにとの思いで、施設内はバリアフリーとなるそうだ。10年限定での営業となり、後に高齢者シェアハウスとして返還される。
過疎化・高齢化がすすむ離島にとっては、新たな空き家の活用方法として注目の仕組みとなるかもしれない。
■「境界なき宿屋カモメ」とは
studio KANRO代表で、一級建築士の内野氏の生まれ故郷である種子島。ここに2年前にオープンした「泊まれる植物館あずまや」に続く2棟目の宿として、現在着工しているのが「境界なき宿屋カモメ」だ。
既に運営中のあずまやと同様、今回も「見えるもの全てが種子島産」をテーマに、島の伝統技術や自然素材をふんだんに使ってこだわりの空間を目指す。また、2棟目独自のこだわりとしてバリアフリーとデザインの両立を掲げており、「福祉を一からデザインしたい」と内野氏は話す。
■種子島産の食材を使用
宿屋で提供される朝食も、全て種子島産の食材を使用する予定だ。宿泊する人たちが皆んなで同じ食材を楽しめるよう、可能な限り軟菜食や刻み食など食形態の変更にも対応するという。
ポップアップストア(期間限定店舗)として再生予定の旧饅頭屋店舗部分にも、島の人の期待は高まっている。
現在、クラウドファンディングを実施しており、改修費の支援を募っている。
マイクロツーリズムやワーケーションなどが注目される今、カモメのような離島での小さな一棟貸しのバリアフリー宿屋は、地方の課題解決の一つの選択肢となるかもしれない。
「境界なき宿屋カモメ」
クラウドファンディングページ:https://camp-fire.jp/projects/view/308304
(田原昌)