出荷先をなくしたシェフが推薦する食生産者と消費者をマッチングする「GREAT FARMERS TO TABLE」

新型コロナウィルス感染拡大による外出自粛で、在宅時間が増え、家で食事をとる人が増えている。外食産業が休業や来店客の減少で打撃を受けていることは周知の事実だが、外食産業のその先に困っている人たちがいることを意識しているだろうか?

飲食店向けの生産物の出荷ができなくなった食の生産者と、外出・外食を自粛し宅内での生活を余儀なくされている消費者とをマッチングしようとスタートしたプロジェクト「GREAT FARMERS TO TABLE(グレートファーマーズトゥーテーブル)」をご紹介しよう。

 

■出荷先を失った食材

全国に発出されている緊急事態宣言により不要不急の人の移動は制限され、飲食店の営業自粛も相次いでいる。そのため、飲食店のシェフを通じて消費者に届けようと思いを込めて作られた野菜や肉、魚などの食材も出荷先を失い、生産地で破棄されるケースが出ている。

一方、外出・外食を自粛しているユーザーは「家ごはん」をとる機会が格段に増えており、高品質の食材を外出せずに生産者から直接入手できる機会へのニーズも高まっている。 APバンクは、厳しい状況にある多くの飲食店シェフの協力を得て、普段店で使う食材を厳選するなかで出会った素晴らしい食の生産者をユーザーに直接紹介するプロジェクトをスタートすることになった。

■生産者と消費者のマッチング

コロナウイルスで既存の出荷先を失った良質な食材をつくる生産者と、より豊かな食卓を求める消費者をマッチングすることで、食生産者と消費者、それぞれの厳しい状況を乗り越えていこうとする取り組みだ。普段はお互いに顔を合わせない食生産者と消費者が、お互いの気持ちを通わすことができるようになることで、日本の食文化を捉え直すきっかけになることを願っているという。

またAPバンクでは、多くの飲食店のシェフが厳しい状況の中、利他の精神を発動され賛同・協力してもらえたことに心からの感謝と敬意を表し、今後何かサポートができないかを引き続き考えていくそうだ。

■APバンクについて

小林武史、櫻井和寿、坂本龍一によって2003年に設立された非営利組織。自然エネルギーをはじめとした環境プロジェクトへの融資をはじめ、屋外で音楽を聴きながら環境問題を考える場として音楽イベント「ap bank fes」を静岡県のつま恋にて開催するなど様々な活動を行っている。APバンクの「AP」は「Artists’ Power」の「AP」と「Alternative Power(オルタナティブ・パワー)」 の2つの意味が込められている。

 

新型コロナウィルス感染拡大が引き起こした現在の困難には、多くの人が立ち向かわざるを得なくなっている。だからこそ、この「GREAT FARMERS TO TABLE」のような取り組みによって生産者と消費者が直接助け合えるシステムが構築されるのは、とてもポジティブなエネルギーを感じさせてくれる。

この前向きなパワーで、次は私たちも困っている飲食店に対してできることを考えていくべきだろう。困難な時こそ、できることでお互いに助け合っていく気持ちは忘れずにいたいものだ。

ホームページ : http://greatfarmerstotable.com  

(冨田格)