元禄二年創業。奈良最古の醤油蔵がホテルに今夏開業。

300余年の歴史を刻む奈良最古の醤油蔵に泊ってみよう。

今年7月、醤油蔵を改修した古⺠家ホテル「NIPPONIA ⽥原本 マルト醤油」が開業する。

 

■70年眠り続けた酵を掘り起こし再興

奈良県・⽥原本は「⼤和のおへそ」と⾔われる奈良盆地の中央に位置し、「⽇本のはじまり」の地である⼤和の魅⼒が凝縮している⼟地。弥⽣時代には⼤規模集落を有し、⽔陸要衝の地で物流の要でもあった。⽥原本の⾵景は現代でも四⽅を⽥畑や⼤和⻘垣に囲まれ、古代⼤和の姿を忍ぶことができる。

その⽥原本の東側に位置する⼤和川源流・初瀬川の流域で、元禄2(1689)年に創業したマルト醤油醸造所。

奈良最古となるマルト醤油は、地元産原材料と天然醸造製法にこだわって、丁寧に醤油づくりを続けてきた。

⾵味豊かな醤油は皇室御⽤達でもあり、全国へも販路を拡⼤したが、⼤戦後、⾷糧難で原材料の確保が難しくなり、代替品では納得のいく醤油づくりができなかったという理由から、17代⽬・⽊村藤平により1950年ごろ閉業した。

それから70年を経たいま、孫にあたる18代⽬当主・⽊村浩幸が、蔵に残されていた古⽂書を読み解き、醤油づくりに挑戦。伝統の製法を探り続けるうち、70年ぶりに蔵付き菌が⽣き続けていたことを発⾒し、醤油復活を⽬指して試験醸造を続けている。

 

■「NIPPONIA 原本 マルト醤油」を開業

蔵には古⽂書のほか、醸造場や居住棟、道具類が当時のまま残されており、この築130~140年の蔵を⼀部宿泊棟に改修し、「NIPPONIA ⽥原本 マルト醤油」として新たに開業する。

屋敷そのものは、“⼤和棟”と呼ばれる奈良伝統建築様式がそのまま残る。屋敷内は宿泊棟のほか、醤油のしぼり体験ができるプログラムや醤油を使った料理を楽めるレストランを⽤意。

周辺の畑では⼤⾖や⼩⻨などの醤油の原材料が育っているところも⾒られ、季節によっては収穫に参加し醤油醸造⽂化をより深く知ることができる。

■地域の魅力

地域にはマルト醤油蔵元だけでなく、⽇本最古とされる⼤神神社の別宮・村屋神社や、2200年前にあった弥⽣時代の環濠集落である国史跡唐古・鍵遺跡、邪⾺台国説がある纒向遺跡を有し、三輪⼭や⼆上⼭などの原⾵景を望め、⼤和の魅⼒が凝縮。

 

消えつつある古⺠家を起点に、地域の営み・⽣活・⽂化などを丁寧に掬い取り、⼼を込めて養い、新しくも懐かしい郷として再⽣するNIPPONIAの取り組み。この夏は奈良の醤油蔵の歴史を感じてみては。

 

住所:奈良県磯城郡⽥原本町伊与⼾170

NIPPONIA ⽥原本 マルト醤油:https://maruto-shoyu.co.jp/

 

(MOCA.O)