秋になるとチェコはすっかり涼しくなり、冬場は厳しい寒さを感じる日も少なくない。そんな時、身体を芯から温めてくれるのがホットワインやホットチョコレートだ。
意外にも知られていない、美味しいチョコレートに出会える国・チェコ。可愛いカフェで出会った、最高のホットチョコレートを紹介したい。
首都のプラハから列車で約1時間のところに、Tábor(ターボル)という街がある。活気はあるが観光客はほとんどおらず、落ち着きのある素敵な街だ。
石畳の旧市街を歩いていると、白い建物に緑の木枠のカフェを発見。看板には時計の絵と「Café Budík」と書いてある。日本語にすると「目覚まし時計カフェ」という事だが、これは一体どういう意味なのだろう。
店に入るとその意味がすぐに分かった。天井付近に作られた棚に、ありとあらゆる種類の目覚まし時計が並んでいるのだ。コレクションしたものなのか、常連客が持ってきたものもあるのか、説明書がついている時計もある。
それにしてもすごいコレクション!店内のあらゆる場所に並んでいる目覚まし時計たちに、ついつい目が奪われてしまった。
さて、ここのカフェの自慢はなんといってもホットチョコレート。
ショーケースの上に並んだチョコレートの撹拌機には、ダーク、ミルク、ホワイト、そしてキャラメルチョコレートと書いてある。金色の機械の中で撹拌されているトロトロのチョコレートが、たまらなく美味しそうだ。
メニューを見てみると、基本はショーケースの上にあった4種類のホットチョコレートとなっている。
これに、塩やアーモンド、スパイスなどを加えて自分流に楽しんだり、ウイスキーやグランマニエ、アマレットなどのお酒やリキュールを入れて豪華にすることも可能。
まずは基本のダークチョコレートを試してみる。香りがいい。そして、口に入れた時に広がるカカオの強さ!
「本当に飲み物なのか?」というような濃さなのだが、口に入れると驚くほど素直に喉を通っていく。こんなにも美味しいホットチョコレートがあるのか、と驚いてしまった。
ホワイトチョコレートもクセがなくてお勧め。スパイスやアーモンドを入れると、ほんのり香ってさらに美味しい。
そして、大人の味わいを堪能したいという人は、ダークチョコレートにお酒をどうぞ。
今回はチョコレートによく合う、基本のラム酒で試してみる。すると、ラムとカカオの香りが口の中でわっと広がって鼻に抜けていく。これは幸せの美味しさだ。
どこの国でも、素敵なカフェに巡り会えると嬉しくなる。ここは、ホットチョコレートを飲みに来るだけでも価値のあるカフェだった。
(田原昌)