ビールの歴史は紀元前のメソポタミア文明まで遡るといわれており、古から愛されてきている人々の飲み物だが、現在までずっと醸造を続けている最古のビール醸造所が南ドイツにある「Weihenstephan(ヴァイエンシュテファン)」だ。
今回はその醸造所を訪ね、地元の人たちに紛れてプロースト(乾杯)してきた。
ミュンヘン空港に近い町・Freising(フライジング)は、ミュンヘンにとても近いのに静かで落ち着いた町。ここにあるのがヴァイエンシュテファン醸造所で、小高い丘の上にある。
地元の人たちが犬を連れて散歩するような、木々に囲まれたのんびりとした散歩道をたどっていくと、丁寧に管理された植物園(庭園)に着く。ここもヴァイエンシュテファンの敷地内であり、人々の憩いの場だ。
庭園から門をくぐる辺りには、ミュンヘン工科大学の校舎が並ぶ。世界的にも珍しい、醸造所にあってビール醸造について学べるキャンパスである。
奥の方には、工場出来立てのビールが味わえるレストランがある。
今日は晴天、秋の風が気持ちいい中でほとんどの人が外で飲み食いしている。笑い声やらジョッキをぶつける乾杯の音、ここだけのオクトーバーフェストのようだった。
こういったビールを飲む場では、相席は当たり前。地元の人たちにまぎれ込んで席を取り、まずはビール。
少々濁ったヴァイスが、勝利のカップのような背の高い美しいグラスに注がれる。見た目も素晴らしいビールで、プロースト!
中のレストランでは注文を取りに来てくれるが、ここでは自分のペースで、日本で言うところのカフェテリア方式で注文できるのも魅力。
スープからメインの肉料理、デザートまでしっかり揃っているので注文してみよう。流行りのカリーブルストがビールにとても合うのでオススメ。
秋らしい爽やかな青空の下、やや汗ばむような強い太陽のもとで飲めるビールは美味しい。
1040年から続く伝統のビールで、幸せを感じてしまう一日だった。
(田原昌)