ハプスブルク家の栄華は、その残されたコレクションを見ることでも分かる。
絵画や彫刻といった美術品を見たければ「Kunsthistoriches Museum(美術史博物館)」がおすすめで、楽器や民俗学のコレクションが充実している博物館も訪れてみたいもの。
そんな、世界に冠たるハプスブルク帝国の皇帝たちがどのような場所で生活をしていたのか、間近に見られるのが王宮の「Hofburg(ホーフブルク)」である。
最初の頃に使用していた「Alte Burg(旧王宮)」をはじめ、増改築によって教会や新王宮がつながってできた、巨大な宮殿だ。
皇帝たちの生活が知りたければ「Kaiserappartements & Sisi museum(皇帝の居室とシシィ博物館)」へ。見学したい箇所によって、入り口やチケットが違うので要注意。
まずは立派なドームのある「Michaelertor(ミヒャエル門)に入ると、チケット売り場があり、そこから入場できる。
皇帝の居室は、事実上最後の皇帝フランツ・ヨーゼフとその王妃エリザベート(愛称はシシィ)の生活を伝えるもの。皇帝が執務室として使っていた部屋、エリザベートが化粧室として使っていた部屋などが、使用されていた調度品とともに当時の様子を伝えてくれる。
また「シシィ博物館」では、エリザベートがフランツ・ヨーゼフと出会ったときや、宮廷から旅に出ていた頃、そして暗殺へと目まぐるしく変わる彼女の人生を分かりやすく描く。
明るい少女から王妃へ。その運命を見てみよう。
フランツ・ヨーゼフだけでなく、女帝マリア・テレジアも使用していた食器やカトラリーが見られるのが「Hofburg Silberkammer(宮廷銀器コレクション)」だ。
膨大な量の陶磁器や銀器がずらりと並び、当時の王族や貴族にたちに大人気だった「有田焼」も、日本から輸入されていたようだ。
その絢爛豪華な様子たるや、息を呑むようなコレクションばかり。量が多いので、時間配分を決めた方がいいかもしれない。
当時のダイニングでの食器の並べ方なども展示されていて、興味深い。ナプキンのたたみ方も、独自のものがある。
細かな装飾の燭台や、イギリス女王やマリー・アントワネットから贈られた食器類も必見だ。
ハプスブルク家が残した美術品や宝物。その豪華さは、栄華を誇った帝国の力を垣間見るようだった。
(田原昌)