京王線が調布駅を地下化したことで、元は線路があった場所に細長い駅ビルTrieを建て商業施設を充実させた上に、駅舎があった場所を南北をつなぐ大きな駅前広場として整備。街のイメージを生まれ変わらせることに成功した。
その京王線と同じく新宿を起点に走る小田急線でも代々木上原駅から梅ヶ丘駅間の鉄道地下形式での連続立体交差事業および複々線化事業が進み、地上の線路が敷設されていた部分に空間が誕生している。小田急電鉄株式会社は、下北沢駅を中心に世田谷代田駅から東北沢駅の3駅の間に誕生した1.7kmにわたる開発エリアの名称を「下北線路街」と命名、2020年までに整備を進めている。
◾︎コンセプトは「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」
自分らしく生きている人が多く、“多様性にあふれている街”。下北沢を中心としたエリアをこう捉えた上で、下北沢の魅力を未来へ息づかせながら、さらに多くの人がつながり合い、それぞれが心地よい場所を増やしていくために「サーバント・デベロップメント(支援型開発)」というスタイルで、地域の方々と一緒に街を作っていこうと、小田急電鉄株式会社は考えているという。
開発エリア「下北線路街」では、街に不足している緑を増やし、街とのつながりを意識し、回遊性を高める空間と賑わいづくりを世田谷区と連携して進める。配置する施設は、下北沢エリアの価値をより高め、多くの人に愛着を持たれるものが計画された。
どのような施設が「下北線路街」に配置されていくのか、ご紹介しよう。
開発コンセプトに基づき、異なる各駅周辺の特性を踏まえ下北沢エリアの価値をより高めつつ、多くの人が愛着を持てるようさまざまな意義をもつ個性豊かな施設が整備される。
◾︎KALDINO
“世田谷代田が発祥の「カルディ」によるテストキッチン&カフェ” 開業:2019年12月
世田谷代田に本社を構え、輸入食品でおなじみの「カル ディ」を運営するキャメル珈琲による、商品開発 キッチンと事務所&カフェ。不定期で、試食会など地域に開くイベントも開催する予定。
◾︎宿泊施設(名称未定)
“都心に突如現れる温泉旅館” 開業予定:2020年9月
都会の喧騒を忘れさせ、日々の疲れを癒す温泉旅館。箱根から運ぶ温泉露天風呂のある大浴場に、レストランや茶寮&BAR、ボディケアサービスなど宿泊客以外の方も利用できるくつろぎが揃うという。
◾︎保育園(名称未定)
“地域とつながる保育施設&コミュニティの場” 開業予定2020年4月
子ども一人ひとりの主体性を大切にする認可保育園。コミュニティスペース等を併設することで、地域と新しいつながりを生み出し、人と文化の出会う保育園を目指す。
◾︎BONUS TRACK
“新たなチャレンジや個人の商いを応援する長屋” 開業予定:2020年4月
住居併設の飲食店や物販店をはじめとした新しい商店街。敷地内の広場では、マルシェなどのイベントも開催予定。個人の商いや若者のチャレンジがさらに盛り上がるような、“店主の顔”の見える場所を目指す。
◾︎学生寮(名称未定)
“新たな出会いと学びを提供する学生寮” 開業予定:2020年11月
多様な学生が寝食を共にする中で互いに学び合う、「住む」と「学ぶ」が一体となった、新たな教育的価値をもたらす学生寮。地域の人々との交流の場としても、色々な仕掛けを用意していくとのこと。
◾︎商業施設(名称未定)
“コミュニティをつくるライフスタイル提案型施設” 開業予定2020年12月
シモキタに住む人・働く人・訪れる人のための、新たな居場所。グローサリー、喫茶、ミニシアター、ラウンジ、宿泊施設などを併設。駅前広場や施設内でさまざまなイベントを開催し、新たなコミュニティが生まれる場を目指す。
◾︎シモキタエキウエ
“シモキタならではの多様性にあふれる駅商業施設” 開業:2019年11月
生活雑貨やグリーンショップ等の販売店、カフェをはじめ大衆居酒屋や立ち飲み屋などの飲食店が集まる商業施設。シモキタの街中のような雑多な雰囲気で、幅広い人々やシーンにあわせて利用できる店舗が出店される。
◾︎商業施設(名称未定)
“洗練された個店が集まる次世代型の商業ゾーン” 開業予定:2020年12月
セレクトショップやこだわりの食材を使ったレストランなどが路面店のように集い、路地を巡って楽しめる商業施設。シモキタらしさとこれからの時代を考え、感性を刺激する“いいもの”が多彩に揃う予定。
◾︎商業施設(名称未定)
“シモキタカルチャーを加速させるエンタメカフェ” 開業予定:2020年12月
ちょっとしたライブや演劇など、パフォーマンスができる設備を兼ね備えたカフェレストラン。レンタルスペースとして貸し切り利用も可能、カルチャーの街・シモキタの魅力をさらに盛り上げそうだ。
◾︎宿泊施設(名称未定)
“さまざまな人が集まる都市型ホテル” 開業予定:2020年12月
国内外のさまざまな旅行者のための宿泊施設。個室仕様の客室のほか、ホテル内に併設のカフェバーは、宿泊客以外も利用可能。シモキタのカルチャーに根付いた音楽やイベントの発信も行う予定。
下北沢ならではの味わいを活かしながらも、今までにない全く新しい街が創出されようとしている。2020年に向けて小田急沿線には期待が膨らむ。
「下北線路街」公式サイト https://senrogai.com/
WEBメディア『下北沢、線路と街』 https://senrogai.com/magazine/
(冨田格)