屋内プールをリノベしたシェアスペースで、旅人とローカルが交わる「KIRO 広島 -THE SHARE HOTELS-」オープン

インバウンドの増加に伴い、全国各地でホテル不足な状況は続いている。

新規出店のホテルが続々と増える中、ひときわ注目を集めているのが古い建物を利用して、モダンでカジュアルなリノベーションホテルへと変貌させる「THE SHARE HOTELS」。

 

元の建造物の味わいを残しながらも明るく個性的な空間作りを施して、イメージを刷新。地域の人と旅行者がつながる魅力的な共有空間と、ドミトリータイプからファミリー、ツイン、ダブルなど旅の目的や予算に応じて使い分けられる使い勝手の良い客室構成が、国内外の宿泊客の人気を集めている。

そんな「THE SHARE HOTELS」が7号店「KIRO 広島 -THE SHARE HOTELS-」がオープンした。屋内プールを利用した共有空間が目玉というこの新ホテルをご紹介しよう。

 

◾︎「KIRO 広島 -THE SHARE HOTELS-」魅力的な共有空間

商業店舗などが入居する6階建ての複合ビルを大胆にリノベーションした「KIRO 広島」。3階に残されていたトップライト付きの屋内プールが、壁面タイルや階段を残しつつ開放的な空間に改修され、ホテルの朝食会場兼バーラウンジに設えられた。イベントスペースとしても運営するとのこと。

隣接するシェアキッチン、ランドリースペースを含めて「THE POOLSIDE」と名付けられ、宿泊客と地域の人々が交流できる場づくりを目指すそうだ。

改修前の屋内プール

プール跡地をリノベーションして飲食、イベントスペース用途に転用するのは全国的にも珍しい取り組み。また、広島を拠点に国内外で活躍する「叢 – Qusamura」、株式会社マルニ木工の両社が手掛けた魅力的な植栽や家具が、空間にさらなる付加価値を与えている。

「THE POOLSIDE」で提供される食事やドリンクは、産地まで赴き自家焙煎したコーヒー豆や地元食材にこだわった飲食店を7店舗展開する「株式会社キノシタショウテン」(岡山県)が監修。朝食は、気持ちのいい朝の光が差し込む空間で、焼きたてのクレープ料理やスペシャルティコーヒーが提供される。バーでは、旬のフルーツを使ったサワーや、瀬戸内ゆかりのフィンガーフード等を楽しめるそうだ。

cicane -liquid stand-(シカネ リキッドスタンド)>

「広島コーヒーフェスティバル」主宰メンバーの一人であるムラカミジン氏が、「旅の給水所」をコンセプトとしたドリンクスタンド「cicane -liquid stand-」を1階にオープン。

広島各地のバリスタらが日々入れ替わりコーヒーマシン等を“シェア”して、それぞれの個性が光るコーヒーやドリンクを新しいスタイルで提供する。

◾︎リノベーションのポイント

インテリアデザインは、商業空間のデザインやブランディングを得意とする田中裕之建築設計事務所が担当。建物の歴史を引き継ぎ、一つひとつの痕跡を丁寧に扱うことで、他にはない空間が完成した。

「THE POOLSIDE」は、既存のダイナミックな空間の中でプールが元々持っていた高低差を利用。プールの縁に座席をつくったり、底部分に新たに上げ床を設けたりして、開放的で多様な居場所ができた。かつての“プールサイド”に腰掛けてみると、新旧素材の対比や、注意深く配置された植栽のバランスを楽しむことができる。

STANDARD TWIN

客室内は簡素にして特定の様式に当てはまらないニュートラルな空間としつつ、素材の仕上げや納まりにこだわった。東広島エリアで見られる赤茶色の屋根「石州瓦」をベースにカラーバランスをつくり、瀬戸内での旅の記憶やイメージとの親和性を持たせたという。

STANDARD 4:Japanese-style Room

LOFT 4

「KIRO 広島 -THE SHARE HOTELS-」は広島市中心部の繁華街という便利な立地。名物の牡蠣を始め、秋の食材を堪能するグルメな旅や観光の拠点として人気を集めていきそうだ。

KIRO 広島 -THE SHARE HOTELS-

住所:広島県広島市中区三川町3-21

公式サイト https://www.thesharehotels.com/kiro/

(冨田格)