歴史を刻む山奥の秘湯の宿「中房温泉」

日本アルプスの中腹、燕岳登山口にある秘湯の宿「中房温泉」。開湯は文政4年、山深い谷あいにあり、昔からの湯治場の面影がふんだんに残っている。

燕岳の登山客や周辺の餓鬼岳、槍ヶ岳、上高地などへの登山を楽しむ人々も多く利用する。

宿は本館(旧館)と別館(新館)からなり、温泉バス・トイレ付き、トイレ付き、トイレ共用、登山者や長期滞在者、温泉旅行客など目的により様々なタイプの部屋を用意。

本館、別館それぞれに温泉浴場があるほか、庭内のいたるところから温泉が湧くので、温泉露天風呂や貸切湯が敷地内にいくつもある。

ほとんどの源泉温度は90度以上という高温の温泉だが、加水せず自然のエネルギーで温泉を冷却し適温にしており、すべての風呂に源泉100%掛け流しという温泉好きにはたまらない宿だ。

宿泊した部屋は別館のバス・トイレ付きの和室。傾斜地に建つので玄関から入り組んだ建物の階段を上りながら進んだ先にある。

小さいながらも部屋付きの風呂も源泉掛け流しの温泉だ。

浴衣に着替えて早々に大浴場や貸切湯巡りに出かける。

浴場は混浴風呂もあり、男女別になる時間帯が風呂により決まっているのでチェックインの際に渡されたマップを片手に宿の周囲を散策しながら風呂場巡り。

広い敷地内に木をくり抜いて湯舟に仕立てた一人風呂や蒸し風呂など、趣の異なる露天風呂が点在。

館内の浴場もそれぞれに趣があり、ゆっくり温泉に浸かるにはすべての湯巡りは1泊では難しいほどの数。季節を変えて宿泊するのも一興。春にはかわいらしい高山植物、秋には紅葉が愉しめる。

時間があれば宿の裏手の焼山まで登ってみよう。地熱で蒸気が上がっているので砂を掘って卵を埋めればたちまちゆで卵に。フロントで卵や芋を購入できるそう。

温泉を愉しんだ後は楽しみな夕食。

地場の季節の食材を使用した手作りの温かみを感じる料理がテーブルを埋める。

大岩魚のお造里や岩魚骨酒、馬刺し、天然かじかの唐揚げなどの特別料理もあるので希望の場合は事前に予約を。

朝食は湯豆腐や温泉たまご、焼き魚など種類豊富な和定食が嬉しい。

中房温泉には立ち寄り湯もあるが、宿泊者専用の風呂には入れないので宿に泊まってたくさんの温泉を満喫してほしい。

営業は例年4月下旬から11月下旬(冬季は休業)。

 

住所:長野県安曇野市穂高有明 7226

中房温泉

 

(小椚萌香)