南仏のニースは、華やかな街並みと美しい海岸線のあるリゾート地。
天気の良い日はぶらりと町歩きをしながら、高台に登ってその姿を上から眺めてみよう。
ニースの海岸沿いには「Promenade des Anglais(プロムナード・デザングレ)」がずっと続き、人々が日光浴をしていたり海で泳ぐ姿が見られる。
そのプロムナードのずっと奥に突き出すように見える小高い丘が、もともと城があった場所で、現在は展望台になっている。
丘の真下から展望台に上がれるエレベーターもあるとのことだが、今回は自分の足で行ってみた。
旧市街地から急に立ち上がるような階段を上ると、今度はスロープがずっと続く。
やがて城の端に当たる教会にたどり着いた。18世紀から続く墓地があり、墓石の一つ一つがあまりに立派な建築物になっていて驚いた。
さて、城の一番海寄りの展望台へやって来た。
糸杉とオリーブの木の向こう側に、湾曲した白い海岸線と青い海、そしてヤシ並木が見え、オレンジ色の屋根や教会の塔がイタリアにも似た地中海文化の明るさを醸し出している。
この展望台は現在公園になっていて、子供達が元気に遊んでいた。元々は紀元前のギリシャ時代よりも前からあった城なのだそうで、歴史は非常に古い。
今では地元の人たちの憩いの場であり、ニースの街を見下ろせる素敵な展望台になっているのだ。
湾曲した海岸線が続くニースの街の反対側を見てみよう。そちらはぎゅっと密集した街になっており、その街に入り込むような形で港があった。
レジャーボートやヨットなどが並び、マンションが立ち並んでいる。こちらはきっと、ニースを愛して移住してきた人たちの住宅が多いのだろう。観光客の多い海岸側とは随分と違った趣きだ。
地元の人のように木陰に入ってベンチに座り、海を眺めていると時間が経つのを忘れてしまう。
すると、スクールなのだろうか、港から出て来た小さなヨットの列が目の前の海で練習を始めた。こんな素敵な海のある街に住んでいたなら、ヨットを操れた方が最高に楽しいだろうと思う。
デュフィやシャガールといった芸術家たちを魅了したニースの街。
華やかな街の中心部で楽しむのもいいが、街の賑やかさから離れて羽を伸ばすのも、リゾート地ならではの過ごし方だろう。時間があったらぜひ、丘の上から街を眺めて欲しい。
(田原昌)