「世界で最も美しい湖畔の街」と評される、オーストリアのHallstatt(ハルシュタット)。
その美しさをこの目で実際に見てみたいと思い、ザルツブルクから目指すことにした。
ハルシュタットは、氷河によって作られた多くの湖が存在するザルツカンマーグートの再奥に位置し、オーストリアアルプスの山々に囲まれている。山と湖、自然豊かな土地柄である。
ザルツブルクから目指す方法は、山の方から入っていく車のルートと、バスや電車を乗り継いで湖から入るルート。
「美しいから、絶対に湖から行くのがオススメよ!」と、ザルツブルクのホテルのフロントで強くオススメされたので、そちらのルートを選択。近くのバス停からバスに乗り込んだ。
バスはザルツブルクを出発すると、 あっという間にアルプスのような美しい景色の中へと進んでいった。
いくつもの湖を経由し、バートイシュルへ。あのエリザベートがオーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフと出会った街だ。
ここからは列車に乗り換え。川沿いに走っていくと、ついに「Hallstätter See(ハルシュタット湖)」が見えてきた!山に囲まれた、南北に長い湖である。
ハルシュタット駅を降りると、そこには駅名と時計がついた小さな駅舎のようなものがぽつんとあるだけ。もちろん無人駅。
この駅を出て湖の方へ下っていくと、そこに小さな船着場があった。列車の時刻に合わせて、ハルシュタットの街と駅を結ぶ船が出ているのだ。
待っていると船頭さんとその家族が船をつけ、切符を売り出す。「ようこそ、いらっしゃい!」と、陽気な船頭さんから往復の切符を買い、船に乗り込む。
乗船時間はわずか10分足らず。その間、静かな湖の上を走る船の上で心地よい風に吹かれながら、だんだんと近づいてくるハルシュタットの街に心を踊らせる。
湖の水面ぎりぎりに建っている家。石造りの教会に、すらりと伸びた塔。
テレビや本でしか見たことがなかった童話のような世界が、目の前に広がっている。こんなに可愛らしく、美しい街は確かに「世界一」だと感動した。
個人旅行ではなかなか行きにくいハルシュタットだが、オススメしたい美しい街である。その際は、ぜひ船を使って感動を味わってもらいたい。
(田原昌)