「人間はあした地球が滅ぶとわかっていても、きょうリンゴの木を植えなきゃならないものなのよ。そういうふうに考えて生きていきましょうよ。」
「失敗したらね、そこからスタートなの。あんまり深く考えない。」
この言葉は生前の樹木希林さんのもの。
今年1月末に発売された『樹木希林120の遺言』(宝島社)は、発売から1ヵ月半で累計発行部数40万部を突破している。
樹木希林さんの生前の言葉を集めた名言集を集めた本著では、樹木さんが30歳で結婚したときの言葉や、45歳で事務所から独立したときの言葉、がん発覚後に開いた会見での言葉など、テレビや雑誌、専門誌のほか、今では入手困難なフリーペーパーでの発言まで網羅し、厳選した120の言葉を収録。
「生」「病」「老」「人」「絆」「家」「務」「死」の全8章から構成されており、あらゆる人生の局面に通じる普遍的な言葉を収録している。
先日発表された「理想的な歳の重ね方をしている女性有名人」の1位に樹木希林さんが選ばれており(※)、本書にも、 「自分もこのように生きたい」 「樹木希林さんの言葉に勇気付けられた」などのコメントが読者から寄せられ、女性を中心に世代を超えて共感を呼んでいる。
「もう、ロックには負ける!」
ロックとは裕也さん。
このひと言に、引き受けて、面白がる人生を生きることにした、生身の樹木さんを感じます。
(『GLOW』編集長 大平洋子)
「「いつかは死ぬ」じゃなくて「いつでも死ぬ」という感覚なんです。」
こんな境地に至れば、気づきを絶やさず、
いきいきと生きられるでしょうね。
見事に年を重ねた樹木さんは、私たち大人のお手本です。
(『田舎暮らしの本』編集長 柳 順一)
「人間なんて正しくないんだから。」
「わかっちゃいるけどやめられない」自責の念だらけなわれわれの日々を軽やかにひっくり返してくれる希林さん! 人間の弱さを慈しみ寄り添ってきた、希林さんのフラットで深い優しさがよく表れている言葉だと思います。
(フリー編集者 橋本あづさ)
「自分の悪い点を見据えて、頭を下げるようにしたら、何のことはない。
夫は実に優しい人でした」
「夫婦」に限らず、親と子、友人との繋がりなど、あらゆる人間関係は「あわせ鏡」なのだと、思わずドキリとさせられ、編集の手が止まりました。求めるばかりではなく与える人間にならねば、と。
( 編集者 宮田美緒)
生きていくのはときに苦しいときもある。
「私は何でもおもしろがれるの。」という樹木希林さん。
こんな風に逆境の中でも、どこか前を向いて生きていきたいものである。
最後になるが、樹木希林さんのあとを追うようにして天に召された、ロック歌手で映画俳優としても活躍した内田裕也さんの死を心より追悼したい。
『樹木希林 120の遺言
死ぬときぐらい好きにさせてよ』
著:樹木希林 2019年1月28日発売
定価:本体1200円+税