延命長寿 白鬚の神として祀られ、縁結び・子授け・福徳開運・攘災招福・商売繁盛・交通安全など人の営みごとの導き・道開きの神として信仰される「白鬚神社」。
御祭神の猿田彦命(さるたひこのみこと)は導き・道開きの神として知られ、白髪で白鬚を蓄えた老人の姿で、御社名の由来にもなっている長寿神。
全国にある白鬚神社の総本社である琵琶湖のほとりに建つ白鬚神社は、湖中に朱塗りの大鳥居があり、近江の厳島(いつくしま)とも呼ばれる近江最古の大社である。
湖中の大鳥居の背景に見える島は琵琶湖で最も大きい沖島。約300人が住んでおり、湖沼の島に人が住むのは世界的にも珍しいそうだ。
湖畔から国道を挟み、背後に迫る明神山の麓に社殿と拝殿が建ち、境内社・磐座などが山に続く斜面に祀られている。
国道脇の鳥居をくぐると、手水舎の後ろにある池のほとりに与謝野鉄幹・晶子夫婦が神社を訪れた際に詠んだ歌を刻んだ歌碑がある。
「しらひげの 神のみまへに わくいづみ これをむすべば ひとの清まる」
社前に湧き出る水の清らかさを詠んだもので、上の句は寛(鉄幹)、下の句は晶子の作。
湖側の拝殿に続き国の重要文化財である本殿が鎮座し、その先の石段左手前に若宮神社本殿。
石段を上った一段高いところが上の宮で伊勢両宮(天照皇大神宮・豊受大神宮)、三社(八幡・加茂・高良)神社、弁財天、寿老神、波除稲荷社、天満宮、更に上方に岩戸社の10柱のお社が祀られている。
上の宮から湖方面を振り返るとなだらかに連なる本殿と拝殿の重厚な屋根。その向こうに青い空と湖面が広がり美しい景色が見渡せる。
境内には松尾芭蕉の句碑、紫式部らの歌碑も点在する。いにしえからこの風景を見て歌人や俳人、旅人が美さに心打たれ癒されたことだろう。
眩くさざめく湖面と神秘的な大鳥居からパワーを授かった気持ちになる。
所在地:滋賀県高島市鵜川215番地
(小椚萌香)