「終活」という言葉がすでに定着しているが、「人」ではなく、「家」はどうだろう? 実家が空き家になっている人も多いのでは。
そんな中、野澤千絵さんの『老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する』(講談社)が昨年末に発売された。
大量相続時代の到来とともに注目され続ける「空き家問題」にスポットを当てた一冊だ。
■戸建ての4軒に1軒が空き家予備軍?!
すでに戸建ての4軒に1軒、約720万戸が空き家予備軍となっている。住まいのトリアージ、お試し賃貸、空き家バンク、リースバック、安心R住宅など、家を救う秘策はある。
「きちんと相続が発生する前から、その家を売ったり貸したり、あるいは解体してまた売ったり貸したりっていう仲立ちで、次の人にバトンタッチするための前提条件をきちんと皆で考えましょうというのが住まいを終活するということなんです」というのは、著者の野澤さん。
多くの人にとって家というのは一生のうちで一番大きな買い物だ。しかし、子どもが独立した定年後に、マンションやアパートにサイズダウンを考えている人もいるだろう。
■住まいの終活ノート
この本の試みとして興味深いのが、巻末についている「住まいの終活ノート」。
「終活に向かうための心の整理みたいなところが必要なので、『どうしてこの家を買ったのか』とか、『どういう思いがあるのか』とか、『こんな思い出があったよね』といったことを、まず残してほしいんです」(野澤さん)
空き家予備軍に心当たりのある人は、手に取ってみてはいかがだろうか。
(Takako.S)