子どもの頃から手塚治虫作品に触れて育ったという人も少なくないはず。

名だたる名作の中から「怪奇シリーズ」を完全解剖する『「どろろ」「三つ目がとおる」大解剖』が発売中だ。

マンガの神様、手塚治虫が描く「どろろ」「三つ目がとおる」を中心に、それぞれの作品の背景を読み解く1冊になっている。

■運命に翻弄される主人公の人生を描いた「どろろ」

「どろろ」は百鬼丸とどろろの人生が描かれ、2人の出会い、コンビ誕生、戦いの日々の中で生まれていく友情、避けられない宿命と因縁、そして生きる意味の模索と別離。交差した2人の旅路を追う一大絵巻である。

同作品は、手塚妖怪の独特なデザイン、抑圧される側に常に立ったストーリー、ミステリーのスパイスが加わった作品でありながら、物語は完結していない。しかしながら、旅の最後まで描かれなかったことがより多くの読者の想像力を掻き立てることが愛され続けている要因かもしれない。

■現代文明へのメッセージ性も感じられる「三つ目がとおる」

もう一つ大解剖するのが1974年に連載がスタートした「三つ目がとおる」。この時代、オカルトが流行っており手塚治虫曰く「時代の欲求がそうさせた」と述べている。

オカルト、SF、謎解き、お色気、バラエティに富んだエンターテインメント作品であると同時に現代文明に警報を鳴らすメッセージ性も読み取れる。

そのほかにも「アラバスター」「ザ・クレーター」など傑作怪奇漫画も紹介。オールカラー 128Pで見応えも十分だ。手塚治虫の作品の中で「怪奇漫画」に注目した、永久保存版の1冊として手にとって欲しい。

『「どろろ」「三つ目がとおる」大解剖』
定価980円(税込)
URL：https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=10722

（hachi）