フィンランドの現代美術作家マリタ・リウリアの大規模個展「Golden Age」開催

新しい年の幕開けにふさわしい展覧会が、南青山のスパイラルガーデンで開催される。

2019年1月5日(土)〜1月17日(木)に開催されるのは、フィンランドの芸術家に贈られてきた最高位の勲章「プロ・フィンランディア」を本年受章したマリタ・リウリア(Marita Liulia)の個展「Golden Age」。

Marita Liulia 《Lampedusa》(2015), Serlachius Art Foundati

■マリタ・リウリアの作品とは

マリタ・リウリアはフィンランドを代表する現代美術作家で、美術史上にないものを創造したいという情熱のもと、唯一無二の世界観を確立し、常にフィンランド現代美術界の第一線を走ってきた存在だ。

時代に即した表現を試みる彼女の作品は、メディアアート、絵画、写真、インスタレーション、ステージパフォーマンスなど広範に及ぶが、境界を超えること(Crossing Boundaries)が全ての作品に通底し、自身の内的世界を探る多様なテーマに挑んできた。

Marita Liulia Photo:Arto Forsblom

■本展の見どころ

同展は、2016年にフィンランド郊外のSerlachius Museum Gösta(セルラキウス ミュージアム ゴスタ)にて開催した大規模個展「Golden Age」をもとに新作絵画と写真作品を加え再構成し、リウリアによる近年の作品が一堂に介するのが魅力。

絵画作品は、難民問題、自然災害、異常気象、環境汚染といった世界の現状が物語として表現され、フィンランドの人々を撮影した写真作品からは、長年世界各国を旅してきたリウリアが、今改めて故郷フィンランドへ向けるまなざしが感じ取れる内容となっている。

■「Golden Age」に込められた3つの意味

タイトルの「Golden Age」には3つの意味が込められており、1つ目は、アーティスト自身における「黄金時代」。

2つ目は、素材としての「金」。本展に出展する絵画作品は全て、最初にキャンバス一面に黒い溶岩の顔料が塗られることから始まり、今にも吸い込まれそうな暗黒をベースに「金」を主とした絵の具で描き出される絵画は、黒と金の対比に目を奪われる。

そして3つ目は、フィンランド美術界の「黄金時代」。国にとって、個人にとって、「Golden Age:黄金時代」とは何なのか。経済恐慌、自然災害、宗教、そして難民など、世界が抱える問題に対し、アートができることとは。彼女は問い、思考を促す。

同展の会期中には、アーティスト本人が会場で作品を制作する様子を見られるという貴重な機会も。

日本では2004年の原美術館以来、15年ぶりの開催となるマリタ・リウリアの個展に足を運んでみてはいかがだろう。

■開催概要
会期:2019年1月5日(土)〜1月17日(木)会期中無休
開催時間:11:00—20:00
入場:無料
会場:東京都港区南青山5-6-23 スパイラルガーデン(スパイラル1F)
URL:https://www.spiral.co.jp/topics/spiral-garden/marita

(Yuko Ogawa)