2020年に開かれる、東京オリンピック・パラリンピック。
ニールセンスポーツが2017年に調査したデータによると、パラスポを観戦したことがある人は1%という衝撃的な調査結果が発表された。障がい者スポーツは、体験できる場も限られており、一般層が競技に触れる機会はごく僅かなためだ。
パラ卓球の選手がプレーした時、卓球台はどのように見えているのか、具現化された卓球台のデザインが公開された。
通常、卓球台は長方形だが、パラ卓球の選手がプレーした時、障がいによって違った大きさに感じている。「変形する卓球台」は、パラ卓球選手が自身の障がいと向き合い、自分から卓球台がどのように見えるかを具現化したものである。
■岩渕幸洋選手の卓球台
左足に踏ん張りがきかない岩渕選手の卓球は、左サイドのカドが遠い。
インタビュー
ーー自分の障がいとこれまでの人生
僕は生まれつき障がいがありました。ただ、体育とかも出来ないことはなかったので、自分が障がい者だという意識はありませんでした。
中学生の時、部活で道具を使うスポーツがしたいと思い卓球を始めましたが、この時はまさか自分が卓球選手になりパラリンピックに出場できるなんて思いもしませんでしたね。
ーー自身の障がいについて
両足首に障がいがあるので、左右に振られた時にハンデを感じます。特に左足は自分の力では動けないので、左に振られた時は卓球台が遠く感じます。
ーー自分から見える卓球台のカタチについて
左足に踏ん張りがきかないので左側がとても長く感じます。なので、卓球台は左側がとても長くなっています。
卓球台に期待すること
「僕の場合、一見するとハンデがないように見えるんですけど、この卓球台によって可視化することで、僕がどのように見えているか健常者の方にも知ってもらうきっかけになればと思っています。」
■茶田ゆきみ選手の卓球台
前後左右の動きが限られる車イスでプレーする卓球台は、ものすごく遠く感じる。ネット際のボールは、どんなに手を伸ばしても届かない。そのため茶田選手の卓球台はとても奥行きがある卓球台になっている。
インタビュー:変形する卓球台に期待すること
「私達から見える卓球台をプレーしていただくことで、どういう大変さがあってプレーしているのか感じてもらいたいです。」
■八木克勝選手の卓球台
手を伸ばすという手段を持たない八木選手の卓球は、手前や左右のボールが届かない。そのため、卓球台は下が大きく丸になっている。
インタビュー:変形する卓球台に期待すること
「なにか目指しているものに、あとちょっと足りない人に使ってもらいたいです。何かの手段を使えば、きっと達成できる。それを実感できる台になったらいいなと思います。」
変形する卓球台を一般にも体験してもらうことで、どのように選手が苦労をし、工夫をしているのかを知ってほしい。
1人でも多くの人にパラ卓球の楽しさを知ってもらい、試合を見て欲しいと制作側は願っている。
パラ卓球公式HP:https://jptta.or.jp/
(田原昌)