岡山県勝山のノスタルジックな町並み保存地区を歩く

出雲街道の要衝として繁栄した岡山県勝山。白壁や格子窓の古い町並みが残ることから、昭和60年に岡山県初となる「町並み保存地区」に指定された。

酒蔵や武家屋敷、古民家などが並び、ノスタルジックな町並みの中を散策できる。古民家、蔵などを活用した工房、カフェ、ギャラリーなどが点々とし、立ち寄れば古きよき伝統と文化を身近に感じられる。

「男はつらいよ」シリーズの48作目にして最後の作品「男はつらいよ 寅次郎 紅の花」では、町並み保存地区の通りも舞台となった。

小高い丘に立つ勝山文化往来館「ひしお」。

「ひしお」という名は、かつてこの場所にあった古い醤油蔵が作っていた「醤(ひしお)」から付けられたそう。土壁のモダンな建物で、カフェや休憩のできるスペースもある。

工芸・彫刻・絵画などの作品展やミニコンサート、朗読会などが開催される。

醤油蔵だった時に使われていたであろう桶は圧巻の大きさ。

メイン通りに戻り町を構成する家々の写真を撮っていると温かみのある絵になる一枚に。次々にシャッターを押していると、商店だけでなくどの家にも暖簾が架かっているのに気付く。

軒先にオリジナルの暖簾が掲げられることから「のれんのある風景」として有名だそう。

岡山県・真庭観光局のホームページから引用させていただくと、

【「ひのき草木染織工房」の店主が、何か町に特徴をということで自らの店の軒先に暖簾をかけたことをきっかけに、商店、工房といったお店だけでなく、一般の民家までもその姿勢に賛同。

「うちもやってみようか」とその輪が広まり、今では100軒もの家々でその店・家を象徴するセンスある暖簾が、まるで「生」の証しであるかのように日々元気に掲げられているのです。

もう一つ素晴らしいのが、この暖簾をかけるという行動がすべて自主性であり、当然のことながら個人負担による制作であるということ】だそう。

なるほど、暖簾がノスタルジックな趣に統一感を持たせ、町全体に温かい印象を与えているようだ。

勝山の町に関する歴史、文化の史料を残す「勝山郷土資料館」の入口には、主を待っているのであろう柴犬の子が微笑んでいるよう。

 

心和む風景があちらこちらで見かけられた。

 

勝山 町並み保存地区 所在地:岡山県真庭市勝山

 

(小椚萌香)