山と湖が美しい、オーストリア・ザルツカンマーグートを巡る旅

オーストリアのウィーンから見て、西方のドイツ寄りにあるザルツブルク。そのザルツブルクの南東一帯に、氷河によってできたという湖が70以上も存在する地域が、「Salzkammergut(ザルツカンマーグート)」だ。

ザルツカンマーグートというのは「塩の宝庫」という意味で、この地域にはたくさんの塩鉱があり、産出される岩塩がハプスブルク家の財政を支えていたのだそう。

現在ではその豊かな緑と美しい湖の風景に憧れ、観光客の来訪が後をたたない人気のエリア。今回はザルツブルクを出発して、ザルツカンマーグートを巡ってみた。

ザルツブルクからはバスで移動。少し走ると濃い緑色の牧草が広がり、山あいの美しい景色が見えてきた。

最初にたどり着いたのが「Fuschlsee(フシュル湖)」で、翡翠のような湖の色と氷河によって削られた山、湖に沿って点在する家が絵のようで美しかった。

フシュル湖を出発してすぐ、大きな湖が見えてくる。こちらは「Wolfgangsee(ヴォルフガング湖)」。名前を聞いてピンときた人もいるかと思うが、ここはモーツアルト所縁の場所だ。

バスが到着するのは「St.Gilgen(ザンクト・ギルゲン)」という町で、モーツアルトの母の生家がある。幼いモーツアルト像もあるという。

それからヴォルフガング湖沿いにバスが走るので、美しい景色をずっと眺めながら、心地の良い時間が過ごせる。

やがてバスの終点「Bad Ischl(バート・イシュル)」に到着。ここは皇帝フランツ・ヨーゼフがエリザベートと婚約をした土地であり、また温泉保養地としても有名だ。

バート・イシュルからは列車に乗り換えて、「Traun(トラウン川)」沿いを走る。

山が切り立ってきて川幅が広がってくると、やがてザルツカンマーグートの最奥「Hallstätter see(ハルシュタット湖)」に到着。ザルツブルクから約2時間の旅だった。

ザルツカンマーグートは、ザルツブルクを出発する様々なツアーもあり、モーツアルト所縁の土地をめぐる旅や、ミュージカルや映画にもなった「The Sound of Music(サウンド・オブ・ミュージック)」をめぐるバスツアーもあるので利用すると便利。

美しい湖と山、そして風景に溶け込む可愛らしい村や町を見ていると心から癒される。混まないシーズンを選んで、のんびりと過ごすことをお勧めしたい。

(田原昌)