荘厳な断崖と岩々、神秘的なコバルトブルーの水面を観光遊覧で楽しむ「瀞峡巡り」

吉野熊野国立公園内にある「瀞峡(どろきょう)」は、奈良県・三重県・和歌山県にまたがる国特別名勝の大峡谷。

上流から、奥瀞、上瀞、下瀞と呼ばれ、特に下瀞の上流あたりは巨岩、奇岩、断崖が続く圧倒的な渓谷で瀞八丁(どろはっちょう)と呼ばれる。

荒々しい断崖と巨岩、穏やかで深い瀞のコバルトブルーの水は神秘的。

 

遊覧船での瀞峡巡りは、小さな和船や観光用のウォータージェット船でめぐるコースなどがあるので、滞在時間や好みで選ぼう。

乗船したのは志古(しこ)にある土産物店やレストラン併設のドライブイン「瀞峡めぐりの里 熊野川」から出航し、瀞峡を巡って戻ってくるおよそ2時間のコース。

チケットを購入して河原に下りると観光船が停まっている。チケットに座席が指定されているので乗客がそれぞれ指定の席に着くと出航だ。

 

上流に向かってしばらく進むと徐々に川幅が狭くなり開けていた両岸は断崖が迫るよう。川の色も神秘的なコバルトブルーに変わり、湖のような静けさを川面に湛える。

 

船内では見どころや奇岩の案内が放送されるので乗客は右岸、左岸に目を向けながらそれぞれのベストショットを写真に収める。

 

夫婦岩・亀石・屏風岩などと名付けられた奇岩・断崖に目を惹かれる。

 

テントの売店が並ぶ開けた河原での下船の休憩時間が設けられ、売店では冷えた飲み物やアイスクリーム、鮎の塩焼きなどの飲食物と那智黒石を加工した置物などの土産品を販売する。

 

下流側の見上げたところに建つ「瀞ホテル」は旅館としては閉館しているが、瀞峡を臨むカフェとして営業している。「瀞ホテル」から望む川面付近が、三重・奈良・和歌山の三県境にあたるらしい。

 

上流側には三重県と奈良県を繋ぐ吊り橋「山彦橋」が掛かっていて、観光客が渡っているのが見られる。

休憩時間が終了し船に乗り込むと下流に引き返すかと思いきや、更に上流へと向かう。山彦橋を真上に眺め、獅子岩、こま犬岩、松茸岩などを見学するとUターン。

 

秋が深まるころには両岸から見事な紅葉が押し寄せてきそうな眺めが想像できる。

陸路での眺めも十分楽しめるが、船に乗っての観光も一押しの「瀞峡」である。

 

(小椚萌香)