1965年に世界中で大ヒットとなったミュージカル映画「The Sound of Music(サウンド・オブ・ミュージック)」により、一躍日本でも有名になったオーストリアの街、Salzburg(ザルツブルク)。
モーツァルト生誕の地としても有名で、かの伝説の指揮者カラヤンの生誕地でもある。
首都のウィーンからは列車で3時間近くかかり、むしろミュンヘンからの方が近いドイツ国境の街。
街の中心をSalzach(ザルツァッハ)川が流れ、西側は旧市街、東側は新市街という風に分かれている。駅をはじめとして意外にも大きな街であり、ドイツとオーストリアの交通の要所となっているようだ。
駅から新市街を下っていくと、やがて川に出る。川を渡る前に見ておきたいのが「Schloss Mirabell(ミラベル宮殿)」の庭園。花が咲き、美しく模様が描かれたこの庭園こそ、映画の中で主人公のマリアと子供達が歌って踊った場所である。
今では市民憩いの場として解放されているが、元々は権力を握っていた大司教が愛人のために建てたというのだから、いやはやザルツブルクでの大司教の力というのは相当なものだったことが伺える。
さてザルツァッハ川には何本かの橋がかかっており、車が通れるもの、歩行者のみが通れるものがある。その中でも異様な姿で驚かされるのが「Makartsteg(マカルト小橋)」。橋の両側が金網になっているのだが、それに驚くほどたくさんの鍵がぶら下がっているのだ。
どうやら恋人たちが記念として自分たちの名前を書き(もしくは刻印して)、鍵をかけているらしい。重さでどうかなってしまうのではないかと、心配するような量だった。
橋を渡った先が旧市街。見上げると高台の上に「Festung Hohensalzburg(ホーエンザルツブルク城)」がそびえ立っている。
その裾に当たる絶壁に面して「Herbert.v.Karajan Platz(カラヤン広場)」があり、馬の壁画と馬の彫刻が立つ「Pferdeschwemme(馬の水飲み場)」がある。ここはマリアが子供達を連れて馬車で巡った場所であり、「サウンド・オブ・ミュージック」が好きなら必見の場所だと言われた。
映画が上映された頃は現地のザルツブルクでは盛り上がりを見せなかったものの、今や訪れるファンは毎年30万人と言われ、ザルツブルク市では博物館の建設も予定しているとか。
オーストリア航空に乗った際は映画を見て予習しておくと、ファンでなくても町歩きに楽しさが増すことだろう。
(田原昌)