坂と猫の街 尾道、千光寺を訪ねて

坂と猫が多い街として知られる広島県尾道。尾道駅から見える小高い山が千光寺山。駅から15分ほどの場所にある千光寺山ロープウェイに乗り山頂まで上る。

山頂にある千光寺公園まで尾道の街並みを眺めながら約3分。

尾道のシンボルでもある千光寺公園はロープウェイの山頂駅周辺を中心に、文学のこみち・千光寺・文学公園・市立美術館・八福稲荷など公園内だけでも見どころは多い。

ロープウェイの頂上駅に着く途中、球体の乗った大きな岩のそばを通過する。千光寺の「玉の岩」だ。玉の岩は、その昔、岩の頂に光る玉があり、このあたり一帯を照らしていたとの言い伝えがあり尾道水道は別名「玉の浦」とも呼ばれるそう。

山頂駅で降りると頂上展望台がある。展望台に上がり眺めると尾道の街並み、尾道水道、向島が一望。

千光寺山ロープウェイ山頂駅横から鼓岩(つづみいわ)付近までの約1キロの「文学のこみち」を散策しながら千光寺を経て山麓駅へ戻ることができる。

文学の小道には尾道ゆかりの25名の作家・詩人の詩歌・小説の断片等が自然石に刻まれる文学碑が点々と続く。

石碑の文字を読みながら坂を下ってくると、10分ほどで千光寺裏門に到着。

火伏せの観音とも称される千手観世音菩薩を御本尊とされる朱塗りの本堂「赤堂」や関西一円の西国観音霊場の各札所の御本尊、観世音菩薩33体が祀られ、ここにお参りすると西国観音霊場を巡拝したのと同じ功徳があると伝えられる「三十三観音堂」、残したい日本の音風景100選に選定された「鐘楼」、鐘楼と向かいあって大日如来、弘法大師、愛染明王の三尊が祀られる「客殿」、「仙堂」、「大師堂」などが建つ境内は参拝客で賑わう。

千光寺をあとにして再び坂を下り山麓駅へと向かう。

坂の途中にはカフェや雑貨店が点在し、猫の描かれた石のオブジェ「福猫石」があちらこちらに置かれている。

山麓駅から尾道市街に点在する寺院を巡るため歩き始めると坂の多さを今さらながら痛感。綺麗な石畳や煉瓦の坂の小道、階段を上り下りしていると尾道の猫が寛いでいるのに癒される。

尾道の坂を上り下りしながらの猫探しも楽しい散策路だ。

 

千光寺所在地:広島県尾道市東土堂町15-1

 

(小椚萌香)