デジタル製品を使うことが多い現代だからこそ、インクの色に思いを込めて手書きを楽しんでみたい。オススメなのは最近海外でも話題になっている「Kobe INK物語」。
街から見た六甲の山なみをモチーフにした「六甲グリーン」や、旧居留地の街並みをモチーフにした「旧居留地セピア」など、神戸の景色や街並みをテーマに生まれた67色(限定色除く)の万年筆インクだ。
1882年創業のナガサワ文具センターは、この「Kobe INK物語」で「第10回日本マーケティング大賞」の奨励賞を受賞した。また神戸観光局では、神戸ならではのまち歩きや体験プログラム「おとな旅・神戸」に「Kobe INK物語」のコースを設けている。
■誕生のきっかけは震災
誕生のきっかけは阪神淡路大震災。10年かかってようやくビジネス再開の目途が立ったころ、「文具の分野できれいな街神戸をPRする方法はないか」「神戸らしい色でお礼の手紙を書きたい」と考えたのが始まり。そんな時、ふと眺めた六甲山の木々の色を切り取って作ったのが1色目の「六甲グリーン」だ。
「一番きれいな青色のインクを作ってやろう!」と出来たのが2色目の「波止場ブルー」。3色目は一番きれいな日暮れ時の街色をモチーフにした「旧居留地セピア」だ。神戸を代表する「山・海・街」の3色を発売したころから、万年筆愛好家の間に少しずつ広まっていった。
■下火だった万年筆を取り巻く状況が、フェルメール展とのコラボで一変!
デジタル化が進行する中、文字を書かない人が増えた事で万年筆を使う人はどんどん減っており、「Kobe INK物語」はまさに時代に逆行した商品だった。
しかし、2012年にフェルメール展とのコラボ限定色(現在は売切れ)を発売してから状況が一変。フェルメールがきっかけでインクを手に取り、インクを使ってみたいから万年筆を購入するという、逆転の現象が起きたのだ。
■万年筆の再ブームと海外への展開
最近では文字を書くだけでなく、コレクションして楽しむ、カラフルなインクを使って絵を描く、そしてカラーセラピーのような使い方をしている人もいる。
世界中からわざわざ神戸にインクを買いに来るファンも少なくない。
■東京限定色
「銀座・伊東屋」での取り扱いを記念した限定色として、神戸人から見た銀座の色である「銀座ゴールドセピア」が登場。その他にも限定色があるので要チェックだ。
万年筆は手間がかかるかもしれないが、その分思いが伝わる。お気に入りの色を見つけ「手書きの文字」の良さを再確認したい。
(田原昌)