チェコのプラハから列車に乗って2時間もしないうちに、国境付近の街、ドイツのドレスデンに到着した。
ドイツの東側、ザクセン州の州都であるドレスデンは、エルベ川を挟んで広がる緑豊かな街だ。冬のクリスマスマーケットが有名で、そして今や日本でも有名になりつつある菓子「Stollen(シュトーレン)」発祥の地とも言われている。
旧東ドイツだった空気が残っているのか、ミュンヘン(旧西ドイツ)と比べて垢抜けた感じはなく、賑わっているがどことなく素朴さを感じさせる。ところどころに共産主義時代の名残を見る事も出来た。
チェコのプラハや南仏のアヴィニョンなど、ヨーロッパの都市は大きな川が蛇行した場所に宮殿などの中心となる建物が作られている事が多い。ドレスデンもしかり。
エルベ川に沿って続く「Brühlsche Terrasse(ブリュールのテラス)」を歩いてみよう。城壁に沿って作られた散歩道だが、景色も良くのんびりできる。
また、エルベ川に架かっている「Augustusbrücke(アウグストゥス橋)」を渡り、対岸から中心部を眺めると、古い建物が威厳を持ってずらりと並んでいるのが見える。壮観だ。夜にはライトアップされるという事で、それもまた美しいのだろう。
川岸からちょっと内側に入った広場が「Schloßplatz(シュロス広場)」。ここは古い建造物にぐるりと囲まれていて、突然中世にタイムスリップしたかのよう。
「Katholische Hofkirche(宮廷教会)」や裁判所、ドレスデン城の時計の塔がすらりと建っており、重厚なドイツらしい雰囲気が味わえる。車の通りはほぼないので、じっくりと鑑賞できるオススメの場所だ。
その広場から歩いてすぐ、有名な「Fürstenzug(君主の行列)」と呼ばれる壁が見えた。
全長100メートルと言われる長いドレスデン城の壁に、歴代のザクセン王が描かれている。馬に乗り、行列を作って進行しているその様子は、ドレスデンにほど近いマイセンで作られた磁器タイルで出来ている。
高い位置にあるが、非常に美しく細かく描かれているのでじっくりと眺めて欲しい。それぞれの王の性格まで描かれているような気がした。
ドレスデンの観光スポットはまだまだあるが、このエルベ川沿いだけでも見所は多い。
是非訪れて欲しい、ドイツの美しい古都だ。
(田原昌)