モナコの人々に愛される、グレース・ケリーの眠る場所

モナコと言えば、F1とグレース・ケリーではないだろうか。

1956年、当時のモナコ大公であったレニエ三世が、ハリウッドスターとして絶頂を極めていたグレース・ケリーと結婚するという一大センセーションを巻き起こし、モナコ公国が世界中から注目された。

彼女が公妃として夫や子供たちと共に過ごした「Palais Princier(大公宮殿)」は、特別な公務がない限り見学可能。グレース・ケリーゆかりの品が見られるのはもちろん、結婚の儀を行った「ルイ15世の間」の美しさも見逃せない。

そして是非とも訪れたいのは、宮殿のすぐ近くに建つ「Cathédrale de Monaco(モナコ大聖堂)」だ。白一色の外観は、イタリアの教会のようである。天井の高い内部は非常に荘厳に満ちた雰囲気に包まれており、派手さやきらびやかさがなく、心落ち着ける静かな場所だった。

宮殿内で結婚の儀を執り行ったふたりは、次にこのモナコ大聖堂で結婚式を挙げたそうだ。モナコの人々は彼らを祝福し、美しい公妃を心から歓迎したのだろう。

しかしグレース・ケリーは1982年、自動車事故を起こして他界。結婚式を挙げたモナコ大聖堂に埋葬された。

モナコ大聖堂は歴代君主の墓所であり、主祭壇をぐるりと巡るようにして墓碑が並んでいる。グレース・ケリーの墓も歴代君主たちと並び、大理石の墓標には本名の「Gratia Patricia」と刻まれている。その前にはレニエ三世との結婚式の様子を描いた肖像画が飾られており、花も手向けられていた。


今では隣にレニエ三世も埋葬されており、共に仲良く永遠の眠りについている。

モナコの人々は彼女を愛し、「Roseraire Princesse Grace(グレース公妃のバラ園)」や、日本が大好きだった彼女を偲んで造った「Jardin Japonais(日本庭園)」でもその面影を訪ねることが出来る。

花のように咲いて散ったグレース・ケリーを、人々は忘れないのだ。

(田原昌)