「ピエロギ」という料理をご存じだろうか。ポーランドの伝統料理のひとつなのだが、日本人ならとても馴染みのある形に見える。そう、それは「餃子」に非常によく似た料理なのだ。
日本や中国では「餃子」として、そしてロシアでは「ペリメニ」として食されているもの。同じように小麦粉を使って作られた皮に餡を入れ、主に水餃子として食すのが中国やロシアだが、ポーランドでは水餃子と揚げ餃子が存在していた。
ポーランドの首都・ワルシャワに、若者にも大人気の「Zapiecek」というピエロギ専門店があるというので訪ねてみた。日本の餃子とはどう違うのか、楽しみである。
訪ねたのは夜だったのだが、なるほど混んでいてその人気ぶりがうかがえる。店内は少々暗くて落ち着いており、ポーランドの民家を模したような造りになっていた。
メニューを開いてみると、ずらりと並んだピエロギの種類に圧倒される。水餃子と揚げ餃子それぞれで20種類はくだらない。おまけにデザート用のピエロギもあるので、どれを選んだらいいのか悩みどころである。
水餃子はお皿に、揚げ餃子はフライパンにのった状態でサーブされた。量が分からなかったので少なめに注文して正解。日本のものとは違って、ひとつひとつが巨大なのだ!
皮がもちもちしていて肉厚だ。日本のようにヒダを作るのではなく、指で押したように口が閉じられている。中の肉はたっぷりでジューシー。これは美味しい。
また水餃子の方はソースを1つ選んで掛けるので、味の変化も楽しめる。焼き餃子の方は追加でソースを注文することも出来るが、基本はそのまま。醤油やラー油などの調味料は使わなくても十分味が濃い。
デザート用のピエロギも試してみたかったのだが、さすがに食事だけでお腹がいっぱい。小さめだというのでラズベリーソースのサンデーを頼んだが、やはり大きさはポーランドサイズ。でもバニラアイスが優しい甘さだったので食べきってしまった。
それにしても、遠く離れた東欧の国で餃子に似た料理に出会うとは思っていなかった。隣のチェコでは見たことがないので、その広がり方が面白い。食はやはり文化なのだ。
(田原昌)